国際交流事業

2015年7月24日、少林寺拳法グループの訪中団83名が鄭州大学を訪問、日中双方関係者が出席の下、グループの呼びかけで集まった日本語の寄贈図書約3万冊が所蔵されている鄭州大学外国語学院・アジア太平洋研究センター内の「宗道臣文庫」の落成記念除幕式が挙行され、日本語学部の学生代表の馮愈惠さん(2012年鄭州大学外国語学院日本語学部 本科入学)が日本語でスピーチを行った。以下は要約文。

 

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学生代表の馮愈惠さん

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鄭州大学の宗道臣文庫を見学する団員たち

 

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尊敬するShorinji Kempo Group宗由貴総裁、尊敬する鄭州大学劉炯天学長、尊敬するShorinji Kempo Group訪中団の皆様方及び諸先生方、学生の皆さん、こんにちは!

本日、学生の代表として、ここで一言ご挨拶を申し上げることができまして、誠に光栄に存じます。まず鄭州大学外国語学院日本語学部の学生を代表いたしまして、宗由貴総裁をはじめとするShorinji Kempo Groupの皆様方のご来訪を心より歓迎いたします。そしてご多忙中、貴重なお時間を割いて下さり、中日友好のためご訪問なさった皆様方に心よりお礼を申し上げたいと存じます。

鄭州大学に日本語図書3万冊以上をご寄贈なさったShorinji Kempo Groupのご行為は中日友好を希望する全ての中国人の胸に銘記され、特に私たち若い世代の者の心に十分に伝わってきました。これから前の世代から引き渡される中日友好の旗を必ず元気よく我々の肩に担ぎ、リレーのマラソンのように次の世代に渡していこうと頑張ります。

私はわが大学の外国語学院・アジア太平洋研究センター内の「宗道臣文庫」に行った時、初めてShorinji Kempo Groupという名前を知ったのです。「これは全部Shorinji Kempo Groupが送ってくださった本だから、大事にしてよ。」という責任者である葛先生の言葉を聞くと、古典から現代まで、理論から生活まで、幅広い分野にわたる本がきちんと並べてあるのを見て、思わず「わぁ」と歓声を上げて感心し、本棚の上から下まで、左から右まで一冊一冊見て行きながら、目が離せなくなりました。その時の喜びは、言葉で言い表すことができません。

それをきっかけに、私はShorinji Kempo Groupに興味を持ち、インターネットで調べてみました。Shorinji Kempo Groupはただ一つの民間の組織ではなく、中日友好の架橋としての新しい印象を受けました。…中略… その中には、「たとえ小さくても、一歩でも踏み出せば、世界はそこから変わり始めます。」という言葉が有り、まさにそのとおりだと思いました。

しかし、時に、私たちは行く手に不安を抱き、一歩を踏み出す勇気がなく、踏み違えたらどうしたらいいか心配でたまらなくなるのです。私にもそういう時があります。日本語を勉強して既に3年、なかなか大きな進歩が見られず、へこんでしまい、不安な気分が時々私を襲ってきます。幸いなことに、友達、先生、家族皆が私のそばにいてくれ、これまで落ち込んでいる時には私の背中を押して、「大丈夫よ!転んだら又立ち直ればいいから。」と優しく心を慰めてくれました。そのおかげで、失敗を恐れずに前に進もうという勇気が又湧いてきたのです。一度失敗を経験したら、何が正しい道だったのか、心当たりがあるはずです。過去の歴史を振り返ると、中国の振興の道は一朝一夕に成し遂げられたものではなく、長い道のりの中で何度も何度も難関を切り抜け、一歩一歩とたどり着いたのです。中国の改革・開放の道はそういう流れであり、中日友好への道もまた同じです。中日両国に存在している硬直した困難な局面を打破するために、凄まじく立ち向かうものが必要だと思います。平坦な道ではなくても、その覚悟を持って進む人々は、確実に我々のそばに存在しています。Shorinji Kempo Groupもその中の一員です。「千里の道は一歩より」という諺のように、たとえ小さな一歩でも積もり積もれば石を穿つ、とんでもない力になると私は信じています。

思えば、大学の専攻を選んだ当初、家族全員にそのことを告げずに自分で日本語専攻を決断しました。仮に力が足らなくても、いつかは日本へ留学していろいろな都市を訪れ、その町の雰囲気を感じ、そこで生活する人々と触れ合い、日本の皆さんに「日本のアニメが大好き」という自分の気持ちを伝えたいと思います。簡単な一言だけでも、互いの心を繋げることができるでしょう。

大好きなアニメは、私の人生の道標であるような気がします。幼い頃に初めて日本の  アニメに触れ、「なんて凄いんだ!」と感心して興味を持ち始め、それからアニメファンとして数多くアニメを見ました。「スラムダンク」をはじめ、好きなアニメは数え切れません。アニメの主人公に自分を投影し、高校三年間の受験勉強が実につらかった時期、挫折して心が折れる度に、主人公の前向きな姿のシーンが頭に浮かび上がり、いつも元気付けられました。それで大学第一希望を決めた時、私はためらわず日本語を専攻することにした  わけです。アニメは日本文化の一つの窓口のようなものです。その窓際からちらっと中を覗いただけで、すぐに日本の文化の独特な彩りに魅せられ、ますます日本に対する愛着が強くなっていきました。アニメの中のシーンから、日本の桜、武士道、茶道、歌舞伎等の日本文化が感じられました。その中には中国文化の影響も伺われますが、そこには中国と異なる独自の魂が注がれて開花しており、これこそ中日友好の証です。

現在、中日関係は緊張が続いていますが、この緊張した雰囲気の緩和に私は自分なりに微力ながら全力を尽くしたいと思います。私はけして暗闇の中の孤独なひとりぼっちではなく、周りに皆様のような友好人士が大勢いらっしゃいます。ですから、中日両国の関係は必ず素晴らしい将来を迎えると固く信じ、そのために力を捧げながら、その日が一日も早く来るのを楽しみにお待ちしております。