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彼が銃を捨てた理由(わけ)‐平和と非暴力をマナブ(戦争下のアフガニスタンから)

 日本国際ボランティアセンター(JVC)アフガニスタン事業統括:小野山亮

 私たち日本国際ボランティアセンター(JVC)は、2013年に少林寺拳法世界連合さまのご支援をいただき、アフガニスタンにて、健康教育ならびに教員同士の学び合いという教育の活動を実施いたしました。現在、こうした活動を共に行ってきた教員、女性たち、村の指導者たち住民グループなどとともに、新たな学びの活動を開始しました。活動を共にしてきた住民グループという地域の基盤があってこそ、できていることです。いただきましたご支援に心より感謝申し上げます。

現在の新たな活動とは、「平和や非暴力の学び合い」の活動です。暴力や銃が蔓延するアフガニスタンで、人びとが暴力や銃ではない非暴力の強さを学び、平和な社会を築いていくことを目指しています。そしてこの活動は、非暴力の強さを学び、銃を捨てた当団体現地スタッフの発案から始まりました。ここでは、そのスタッフのこと、彼が発案した「平和と非暴力の学び合い」の活動のことを、ご紹介できればと思います。

■ 銃を取った彼、銃を捨てた彼

銃を持ち歩いていた青年時代

 その現地スタッフはアフガニスタン東部のある村で生まれました。侵攻したソ連に対してゲリラ勢力が戦っていた時代です。村の長老だった彼の父親は、村への攻撃をやめるように政府に話をしに行ったところ、今後はゲリラ側が、政府と話し合いをしたことで、彼の父親を殺そうとしました。彼の家族は隣国のパキスタンに逃れました。彼は稼ぐためにいろいろな所で働いたそうです。「力をもつヤツが勝つことを見てきたから、力をいかせる武装警備員としてある会社で働いていた時にはそのことに誇りをもっていた」彼はそう語っています。故郷で自分の家族と別の家族との間で土地をめぐる争いになり、故郷に戻ったときには、銃撃戦になり、彼自身も負傷しました。その後、彼は狙われていたため、ずっと銃を持ち歩いていました。彼はそんな青年時代を過ごしています。

「9.11」を受けて米国によるアフガニスタン武力介入が始まり、当時のタリバン政権が追われました。その後、彼は母国に戻ることになりました。「武力」を信奉していた彼は、政府軍に加わろうと考えたそうですが、周囲にはこれを止める者もいました。「政府軍は米国の傭兵だ、過去に英国、ロシアを打ち負かしてきたように、米国も打ち負かすべきだ。イスラム、つまりタリバンを支援すべきだ」というのです。彼は説得され、タリバンを支援するようになりました。タリバンが力を失っていた時期でした。彼はその再組織化の手助けをしたそうです。「バラバラになっているグループをつなぎ、支援者とつなぎ、地方有力者のふりをして検問をすり抜け、移動を手伝い、滞在する場所を用意したりした」と語っています。

その後、彼はひょんなことから当団体で運転手として働くようになりました。あるとき、同僚の母親が米軍による発砲で重傷を負った際に、当団体の当時の現地代表(日本人)が超大国である米軍と同じテーブルにつき、「非暴力」の抗議で問題解決しようとするのを目の当たりにしました。「「対話」という新たな問題解決の方法を知った瞬間だった」彼はそう語っています。

ロケット砲の破片

その後、彼自身も米軍と対峙するようになりました。当団体が運営する診療所近くで米軍ヘリがロケット砲を発射した際に、彼は、集めたロケット砲の破片や夢中で撮った写真を証拠として抗議しました。米軍は、これは演習だったと認めましたが、「これで最後だ。二度とこの問題をもち出すな」と言い放ったそうです。しかし、彼は状況を変えたのです。「力」ではなく「対話」で。「武力信奉者だった私は、次第に非暴力の強さを学んでいった」と彼は言います。

 

彼はその後、彼なりのやり方で、家族、親戚、友人、隣人たちが集まり、それぞれが喧嘩や争いをどう解決したのかを発表し合うという平和と非暴力の学び合いの活動を始めました。

 

 

■ アフガニスタンの現地で起こっていること。「暴力」が身近な環境

米軍に抗議する現地スタッフ

 

 今年に入ってから、アフガニスタンにおける当団体の活動地で、政府特殊部隊による作戦が行われ、死者や逮捕者を出す事件がありました。「イスラム国(IS)」を名のる勢力と関係する集まりが行われていた後の作戦だったといわれています。活動地からあまり遠くない地域でも、学校に乗り込んだ「IS」の要員が、彼らのいうところの「教え」について、生徒たちに話し、「IS」に参加するように呼びかけているとの情報もあります。「IS」は、当団体の活動地がある県で一定の支配地を保持しています。同国最大の武装勢力「タリバン」の支配地も大きく拡大しています。拡大する戦闘や事件により、市民にも多数の犠牲が出ており、昨年の市民の犠牲者数は過去最悪となってしまいました。

これらの原因として、また結果として、「力」による支配が繰り返され、「力」への信奉が見られ、武器や暴力の蔓延しているような状況があります。当団体の活動の中でも、一般の人びとの間での銃や刃物による殺傷事件、運営する診療所への流れ弾の被害といった報告を受けることがありました。地域での争いがおこると、争いの当事者が武装勢力に加担を求め、より大きな暴力につながったり、武装勢力の拠点になったりするなどの事例も見られます。子どもたちにも戦うことが教えられるような環境もあります。上記のスタッフが個人的に関わっている、子どもたちを銃から遠ざけるために行われている「オモチャの銃にNo!」キャンペーンという活動がありますが、これに対して「子どもたちが戦士になれないじゃないか」といった反応を聞くこともありました。

 

平和・非暴力の学び合いに参加した青年たちとJVC現地職員

■ 「人は変わることができる」‐平和と非暴力をマナブ

こうした状況に危機感を覚えた上記の現地スタッフは、自身が始めた平和と非暴力の学び合いの活動を、当団体の活動としてできないだろうかと提案をしてきました。それを受け、当団体は今年度4月より、団体として実際にこの活動を開始しています。地域指導者、女性、青年たちなどがそれぞれ集まり、喧嘩や争いをどう解決したのか、暴力から子どもたちをどう守るのかといった身近な事例などを発表し合い、お互いの学びや励みとしています。こうした事例を紹介するブックレットも作成し、学びのために地域で広く配布しています。また、学びをさらに家族や地域に発信していくことも参加者に働きかけています。今後は、実際に戦闘が行われているような他の地域と、当団体の事業地の間での、平和な地域づくりのための経験交流なども予定しており、他地域からも平和に向けた何らかの活動の希望があれば、支援ができないか検討していく予定です。

 

「人は変わることができる。私がその実例だ」これは、今回ご紹介した、過去に銃を取り、そして銃を捨て、今はこの活動を提案し実施している現地スタッフの彼が口にしている言葉です、この活動は、まさに、第2、第3の彼が現れ、平和がつくられることをめざしています。ぜひ、この活動へのご関心、ご支援をいただけますと幸いです。

以上

※現在、この平和と非暴力の学び合いの活動への資金が不足しています。

ご支援どうぞよろしくお願いいたします!

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