国際交流事業

◆日中青少年交流推進年のしめくくり
2018 年 10 月の安倍総理訪中時に、日中両国政府は 2019 年を「日中青少年交流推進年」元年とし、以後5年間で3万人規模の青少年交流を実施することを発表しました。その元年のしめくくりとして12月23日に「日中青少年交流促進年しめくくりのイベント」が企画され、中国側から招待を受けてと中日友好協会による現地受け入れの協力を頂き実施されました。募集期間が2週間足らずという短期間にもかかわらず全国で大きな反響を呼び、あっという間に定員枠がいっぱいになりました。

 

◆事前学習会から訪中は始まっている
出発前日(12月21日)に、東京で事前学習会・結団式が行われました。
初めに主催者を代表し、少林寺拳法グループ宗由貴代表(現相談役)より、「私が17歳のとき、中国体験の豊かな開祖に初めて中国へ連れていってもらって本当によかったと思っています。当時の中国は日本より経済発展が30年ぐらい遅れていました。もし開祖じゃなく違う人と行っていたら、価値観が変わっていたかもしれませんね。どのタイミングや年齢、どういう人と行くかということはとっても大事です。今もし皆さんが何か先入観念を持っているとしたら、日本にいったん置いていって、素直に見て、聞いて、触れて、感じてください。自分の感性でありのままの中国を感じてほしいです。感性豊かな年代に、異文化に触れる経験をすることは、今後の人生にとって、きっと何かのきっかけになります。また少林寺拳法は、合掌一つですぐ仲よくできます。その関係を大事にして、何よりも楽しんできてください。楽しむことが一番です」と語り、今回の活動と将来に期待を寄せました。
続いて、宗昂馬団長より、「それぞれ皆さん何か一つ目的や目標を持って訪中してください。そしていい人間関係をつくってきてください。中国のこと、少林寺拳法のことを、一緒に行く先生方やスタッフに、何でも聞いてください。安全で楽しくて、もう一度中国に行きたいなと思える旅にしたいと思います!」と訪中への期待を述べられました。
今回も参加者を班ごとに分け、班員同士のコミュニケーションの時間を設け、団の行動規範を決め、発表し合いました。
 また少林寺拳法の演武披露のリハーサルも行われました。ほぼ初対面の拳士で、最初は緊張もあいまってバラバラの演武でしたが、熱心な指導に応えようと、おのおのが高め合い、最後は息の合った団体演武に仕上がりました。
そんな内容の濃い事前学習会を終えた懇親会では、もうすっかりみんな打ち解けている様子でした。
 

◆中国での主なスケジュール
初日  北京空港到着、南鑼鼓巷(観光地)見学、雑技鑑賞(朝陽劇場)
2日目 現地企業(UCOMMNUE)見学
「日中青少年交流促進年イベント」参加(人民大会堂)
中日友好協会主催の歓迎レセプション(北京体育大学中国武術学院学生参加)
3日目 万里の長城見学
    北京林業大学を訪問、文化体験(切り絵)と餃子作り、たこ焼きづくりを体験)、感想発表会(解団式)
4日目 日本へ帰国
 

◆「日中青少年交流促進年イベント」参加(人民大会堂)
日中両国国民の相互信頼・理解を醸成する観点から,政府間で2019年から向こう5年間を「日中青少年交流推進年」と銘打って、年間を通して両国の青少年交流が活発に行われていましたが、その元年のしめくりとして、中国人民対外友好協会と中国日本友好協会主催による中日青少年友好交流大会が北京の人民大会堂で行われました。日中双方の千人の青少年が一堂に会し、スピーチや音楽や踊りなどを披露し合い親睦を深めました。

日本側の代表として、当訪中団の中村めぐみさんがスピーチをしました。初めての訪中をきっかけに国際協調事業に関心を持ち、国際事業に力を入れている企業で仕事をすることを決めたと語り、「中国と日本が互いの言葉で気持ちや考えを伝え合うためには、思いやる心が大切」と伝え、会場中から大きな拍手が送られました。
また、団員全員で元気いっぱい少林寺拳法の演武を披露し、会場を盛り上げました。最後は会場全員で中国のポピュラーソング「朋友」(友達)を歌い、会場が一体となりました。

 

◆未来を担う学生間の友好交流
旅程2日目、3日目は中国の学生との交流の機会がありました。
中日友好協会が主催する歓迎レセプションでは北京体育大学中国武術学院学生が参加し、ダイナミックでスピード感のあるさまざまな武術が披露され、会場中を魅了しました。続いて、日本語と中国語でのナレーションを交えながら、少林寺拳法の演武を披露しました。演武を披露し合ったあとは、美味しい中華料理を味わいながら歓談をしました。

また、翌日の北京林業大学の異文化交流は内容が盛りだくさんで、日本語学科の学生の案内で生物博物館などキャンパス内を見学したあと 中国の切り絵体験、水餃子とたこ焼き作りというお互いの国の文化を披露し体験し合いました。
 どの交流の場でも、最初は緊張していたものの、気づくとおのおのがスマートフォンのアプリやSNSを駆使し、写真や翻訳ツールですぐ打ち解け仲よくなったようで、日本から持ってきた菓子や文具などをプレゼントして楽しんでいました。中には連絡先の交換をした団員もいました。
また、中国の学生たちだけではなく、「初対面だったけど一緒に新幹線で帰ります」「仲よくなった団員と最後に買い物に行きたかった」「同じ趣味だったり、同じ名前だったり縁を感じ、うれしかった」などの声を聞き、団員同志の絆も深まったようでした。
   

 

◆北京に触れて
今回の訪中は全日程が中国の首都北京の滞在であり、中国の活気に満ちた姿を見聞しました、初日は観光地(南鑼鼓巷)で食べ歩きや買い物をして楽しみました。
伝統文化雑技鑑賞で、団員たちは皆、伝統的な中国の舞台セットだけでなく、プロジェクションマッピングを駆使したにぎやかな雑技団のパフォーマンスに魅了されたようです。
買い物やレストランでは店員さんと翻訳機を使ったり、英語やジェスチャーで積極的に交流する姿も見受けられました。移動中の車窓から見える天安門や北京五輪の建物やイルミネーションにも感動した様子で、市内には地下鉄が走り、街中に貼られている路線図や看板にも関心を持ったようです。今度は個人で来てみたいという団員もいました。
 また、多くの団員が楽しみにしていた世界遺産「万里の長城」では、多くの団員が元気いっぱい頂上まで駆け上がり、壮大な景色、小雪舞う絶景の長城を楽しみました。

企業見学で訪問した「UCOMMUNE」は、共有オフィススペースを運営する中国の代表的な新進企業で、さまざまな業種の人と交流を深められる場ということで魅力あふれるオフィスでした。おしゃれなオブジェ、スナックスポット、癒しスポットには植物だけでなく小動物もいるバラエティに富んだ空間に、団員から「こんなところで働けたら楽しく仕事できそう」という声が上がりました。

     

 

◆日中友好の願い
少林寺拳法グループの日中交流事業推進の原点は、「日中友好なくしてアジアの平和はありえず、アジアの平和なくして世界の平和はありえない」という創始者・宗道臣の志です。
 今回の異文化交流で中国の魅力を発見し、自国日本の魅力や少林寺拳法で人はつながるという気付きを経て、今後各自の意思でこの創始者の志を体現してもらえたらと願っています。
日本の国会議事堂に当たる北京の「人民大会堂」で少林寺拳法の演武を披露し、会場から割れんばかりの拍手を受けていた団員のうれしそうな顔がとても印象的で「少林寺拳法だけでなく、日本の代表でもあるんだ」と実感したに違いなく、今後の人生の「何か」のきっかけになったと感じました。未体験の見聞を広めたことによって、団員らは、充実した思い出と未来につながる自信を得ることができたのではないでしょうか。日本と中国、隣国同士の友好交流から世界平和へとつながる創始者の願いを引き継ぐべく、今後の学生らの活躍に大きな期待をしたいと思います。日本を訪れる中国人客が年々増加する中、事前学習会で宗由貴顧問や宗昂馬団長が「先入観を一旦置いて中国に触れてほしい」と願ったように、文化や習慣の違いから来る誤解もあり、中国人客のマナーの悪さばかりが強調された偏向報道が多いのが実情です。しかし私たちが真に目を向けるべきは、訪日した中国人の多くが、日本に好印象を抱き、日本のよさをSNSで広げてくれていることです。
おりしも1月末から新型コロナウイルス肺炎による感染拡大が世界的に問題となっています。しかしそんなときに、ついこの間交流した中国の学生たちや、お世話になった各界の方々の安否が気になっているという団員や引率のスタッフからの声を聞くと、訪中の意義と永続する日中友好の未来への希望を感じます。日本と中国、隣国同士の友好交流から世界平和へとつなげる創始者の願いを引き継ぎ、次世代を担う団員たちの活躍に大きな期待をしたいと思います。一日も早く感染の終息と交流の再開を願いま