「創業と守成はどちらが難しいか?」

2020/10/01

ph_arai

謹啓

国や組織には、権力を持つ指導者が存在しますが、最も大きな権力を持っているのは、一般大衆かもしれません。いかなる指導者も権力を掌握して3年ぐらいで正常な感覚が麻痺すると言われています。そして、そのような権力者は、一般大衆からNOをつけられることになります。

また、指導者やその優秀なブレーンが、一所懸命に構築した国や制度、建造物であっても、NHKの東京リボーン「渋谷迷宮大改造」のように、時とともに複雑なものが出来上がってしまい、一般大衆に受け入れられない、時代にあわないものとなってしまうこともあります。

私は、会長就任5年目にあたり、少林寺拳法が今後も社会に役立ち、運動体として機能し続けられるよう、今をチャンスと捉えて、皆様方と深く考えてまいりたいと思います。

中国史上で、有数の名君と言われている唐の太宗皇帝と家臣との有名な会話に、「創業と守成はどちらが難しいか?」というものがあります。二人の家臣は、双方別々の回答をしますが、太宗は、創業の困難さを認めながらも、「今後は、守成の困難さに、諸君と共に慎重に対処したいと思う」と答えたと言われています。

一般的に組織の寿命は、平均30年といわれています。少林寺拳法は、創始より70年を超え、現存しています。しかし、組織は生き物ですから、油断は禁物と心得ています。

少林寺拳法の守成を考えるとき、まず、三つの心の壁を払拭することから始めました。

一つ目は、自分達だけを中心に考えるセクショナリズムの壁。二つ目は、上下の壁。三つ目は、常識・風土・規制の壁。

連盟は、大きく3部門が連携する単純な構造とし、常に連携しています。少林寺拳法グループにもワンフロア―化を提案し、一部採用されています。職員は、上長以外の誰にでも相談できる環境も作りました。また、一部の不正防止のために全体が疲弊する制度や、手間暇かかる事務手続きも、性善説を優先できる仕組みを心掛けています。

幸福運動の継続発展のために、最善の姿を、固定観念を払拭しながら、考え実践してまいります。

謹白