からだを育み 心を育み つながりを育む

2018/01/05

「四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順(した)がう。七十にして心の欲する所に従って、矩(のり)を踰(こ)えず」(論語)と言います。人間の年代に応じた生き方を示しているものですが、組織・団体の年月に応じた行動姿勢を表現しているようにも思えます。
 少林寺拳法連盟は、今年、発足から 70 周年を迎え、先般、香川県多度津の本山で記念事業が行われました。その基本理念は「つながり」でした。少林寺拳法は、武道の一つですから、生徒・学生はもとより、子どもから高齢者、女性、障害のある人、様々な人々がそれに参画することにより、からだを育み、健康と体力を増進し、病気・障害を予防・軽減する効果が得られます。また、心を育み、感性豊かな人間形成に役立ちます。さらには、少林寺拳法を介して、いろいろな人々とのつながりが育まれ、新たな出会いが広がり、それまでには経験できなかった楽しいことや嬉しいことが数多く生まれるものです。
 人としては、70 歳になったら、自由な生き方の中にも節度を保つことが望ましいと同様に、70 年の歴史を積み上げた、少林寺拳法という武道組織も、自由さを多彩に広げつつも、守り続けてきた基本精神を保つことが、次の 80 年に向けての目標につながるでしょう。
 そして、健康プログラムに通う様々な人々の「つながりを育む」ことを大切にすることが、さらなる組織の進化と発展を生み出すと確信しています。

執筆者 武藤 芳照:(学)日本体育大学 日体大総合研究所 所長 / 日本体育大学 特別招聘教授