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vol.39 ダーマを意識し、日々、進化する

2015/04/06

少林寺拳法創設時から開祖のお膝元で修行された先生の言葉で、いつまでも新鮮で強烈に心に残っている言葉があります。「開祖は日々変わっていった。毎日おそばにいてもそれをひしひしと感じさせてくれた。私は変わっていく開祖に触れることが嬉しく、一つ一つまねをしようと努力をしてきた」。帰山のたびに、宿舎で一手二手と技を教わりながら、ぽつりぽつりと語られた言葉です。また、この先生と同じ年代の先生ですが、当時既に今の私よりお年を召していたものの、「私は今でも毎日進化しているぞ」と若輩の私に生き生きとお話してくださいました。

私が初めて帰山し、開祖にお目にかかったのは、今から半世紀近く前の学生合宿です。そこでの開祖法話、「金剛禅運動」「行動せよ」……、全てがびっくりでした。当時の大学少林寺拳法部では当然のことでしょうが、初めて金剛禅をバシッと突きつけられたようなものです。でも、同時に私たち学生一人ひとりの心に響き、容量の大きなバッテリーを頂いたことにもなります。あれから、実業団支部、支部道場、道院と形態を変えながら、この地で少林寺拳法の普及、金剛禅の布教に携わってきました。なんと幸福なことだろうと思います。振り返れば、スタート時は修練場確保もままならず、公園の広場で修練し、雨が降ったら休み、という時期もありました。でも、拳士たちはひるむことなく燃えていました。青臭いけど火の玉になっている私たちの志、行動に、一人二人と徐々に心強い理解者協力者が現れ、修練場確保はもとより後援会組織も立ち上げてくださいました。その間、開祖法話で「何かやろうと決めたら好きなものを断て!」と聞いたその日に、タバコをきっぱり断ちました。私の身体改造・精神改造の第一ページだと思っています。金剛禅運動を拡大し、持続して発展していく道のりは、紆余曲折、山あり谷ありです。組織として機構改革を確実にして、名実共に金剛禅運動を推進するには、私たちが布教者としての意識を確立しなければなりません。

学生時代、英作文の授業でreform(改革)と書くべきところを、revolution(革命)と間違って表現して担当教授から、「近頃の学生はこのように思い上がった者が多い!」とにらまれた苦い経験があります。しかし今、布教者は金剛禅運動というよりはあえて金剛禅革命という意識を持って行動すべきではないかと思います。開祖は金剛禅が目指すのは、「教育によって緩やかに世の中を変えていく革命だ」とも述べています。

目を道院に転ずれば、少年拳士からシニア拳士まで、一人ひとりが自分に合った生涯修行に向かい合っています。道院から地域社会に金剛禅を浸透させるには、拳士・保護者も広告塔になっていただくこと。それには、開祖のように、技術も学科も一人ひとりの心に響く指導で接することだと思っています。山形県出身の井上やすし氏の「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く」、みんなにダーマを実感してほしいと思っています。そして、このことが強力な布教の原動力になると確信しています。鎮魂行を重視し、常にダーマの存在を意識していることで、私も「日々進化している」と実感しています。冒頭ご紹介しました先生たちにはまだまだ及びませんが、修行を怠らず、研鑽を重ね、誰もがダーマを実感し、我はダーマとともにあり、そして日々進化する喜びを実感できるように、今後とも分かりやすい指導を心掛けていきます。

(酒田中部道院 道院長 鈴木 信一)

 
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