人を生かして、我も生きる ~教育の場としての風土を築いていきたい~

2019/07/01

今回は、国際武道大学少林寺拳法部監督 髙坂正治さんにお話しを伺います。

―これまでの少林寺拳法との関わりから、自身が目指す方向と未来を担う学生にどうなって欲しいのか、また、監督として、国際武道大学少林寺拳法部をどう導いていきたいのか、自身の体験を踏まえた生きた言葉、あゆみについて話していただいた。

「武大少林寺拳法部の使命」

――監督に就任されてから約2年半が経とうという現在、どんな方針で指導されているのでしょう。

髙坂 うちの部活では、指導者(教育者)の養成(少林寺拳法の指導者、教員、社会のリーダー)を念頭に指導しています。学生とは日常からコミュニケーションを心掛けており、大会の前後、長期休みの前後には必ず個人面談を行っています。こちらから一方的に話をしてしまいがちですが、できる限り傾聴に努めています。

「長所を見つけ、課題に気づく」

――どんなことを学生に聞いたり伝えるのでしょう。

髙坂 うっとうしいと思われるくらい、かなり踏み込んで話をします。対話の目的は二つあります。一つ目は、「自分と仲間の長所(持ち味)を見つけること」です。部活の運営においても、演武や運用法においても、自分の持ち味を発揮するとともに、いかに相手の持ち味を引き出せるかということを意識して取り組ませています。互いの長所を生かそうとする意識があれば、大きな力を発揮することができます。二つ目は、「自分の課題に気づき、向き合うこと」です。自分と向き合うことができるからこそ、教育者として、子どもたちと真剣に向き合った教育を実践できるのだと思っています。「人を生かして、我も生きる」をモットーに、日々の修練や部活運営を行っています。

「こだわりを大切にしたい」

――修練の中身についてはどうでしょう。

髙坂 日頃の修練では、技術修練がメインになりがちですが、作務、鎮魂行、講話の時間を大切にし、行としてのあり方にこだわり指導しています。技術においては、基本・法形・運用法・演武の各修練法のつながりを意識して行っています。技術に一番興味のある年代だからこそ、修練と日常をつなげて、道場で学んだことを日常生活に生かしてこそ意味があると常に投げ掛けています。

「学生の皆さんに聞きました」

―――最近部活で学んだことはなんでしょう。

小池君:僕は髙坂先生の授業を受けて、武道の印象ががらりと変わり、2年生から入部しました。技は難しいですが、仲間と協力し合いながら解決し、上達していくあり方に面白さを感じます。

郷間さん:私は面倒くさがりで色々後回しにしがちですが、日々の話でそういった欠点を指摘くださる気がして自分を振り返るきっかけになっています。

加地君:大学の公開講座のサポートをはじめ、「教えながら学ぶ、指導者が一番学んでいる」という髙坂先生の姿勢に、自分が保健体育教員を目指している中で考えさせられました。

「一枚岩の指導陣」

―――髙坂先生が監督になってからの武道大学はどんな印象でしょう。

井上先生:髙坂先生は一つ一つ積み上げていくことを大切にしています。今日は次の大会に向けて、新しいメンバーでの修練が始まるのかと思っていたら、先週行われた大会で、できたこと、できなかったことを総括してから次のステップに進もうとしている。だから勝ち負けにこだわった練習方法ではないことがわかります。本当に教育しているんだなぁと感心させられます。日常生活から学生に規範を見せる「主体性×実践(背中でみせる)×指導」この三位一体の指導を髙坂先生はしていると感じます。

 

【髙坂 正治氏プロフィール】

兵庫県神戸市出身

国際武道大学体育学部卒業

国際武道大学大学院 武道・スポーツ研究科修了

少林寺拳法グループでの勤務を経て2010年4月~香川県で保健体育教員。

丸亀市立西中学校、丸亀市立南中学校、香川大学教育学部附属特別支援学校で勤務。

2017年4月、国際武道大学に勤務。現在、同大学体育学部武道学科 准教授。少林寺拳法部監督。

主に、少林寺拳法の授業を担当。少林寺拳法のこだわり、魅力について学生に伝えている。