vol.38 受ける側に回り、多くの情報を得る

2014/12/01


武階が上がり、道院で後進を指導する機会が増えるのに比例して、技を掛けられるよりも、掛ける回数が多くなりました。最近、これではいけない、技を掛け合う中で共に身心向上を図るという「組手主体」のあり方に戻らねばと、掛けられ役となっての指導を増やしてみました。すると、得られる情報がとても多いことに改めて気づきました。



受け側(掛けられる側)に徹して転んでいると、相手の動きを落ち着いて見ることができます。体感覚や皮膚感覚から守者の意図や違和感など言葉にならない多くの情報が読み取れ、この情報によってより的確な助言ができるようになったと思います。技を積極的に掛けて指導をしていたころには気付かなかった視点です。



書店に並ぶコミュニケーション関係の本の多くにも、人と対話するときには、一旦、自分の考えを置いて、相手の考えや意図を傾聴する姿勢で臨むとよい関係が築けると書かれています。「伝えようと自分本位で力んでみても相手には伝わらず、積極的に受ける構えで望むと、相手の状況や真意をくみ取ることができ、より確かで多くの情報を得ることができる。それが共感につながり、よりよいものが生み出せる」。そんなことを「掛けられ役指導」から改めて学びました。

(法務部 部長 藤井 省吾)