vol.12 合掌礼

2010/09/19

aun_i_vol12いつだったか、拳士仲間でスナックに飲みに行ったときのことだ。店を出て合掌礼を交わしたところ、見送りにきた女の子たちに大笑いされてしまった。

ふだん自覚しないが、外部の人の目には奇妙な習慣なのかもしれない。

1995年のいわゆるオウム事件の後、ある大学の少林寺拳法部では、「駅や街頭では合掌礼をしなくてもよいこととする」と申し合わせをしたとも聞いたことがある。

ある日、都内で開催されたイベントで錫杖の演武を行い、電車で帰った。いささか疲れていたが、目の前の席が空いたとき、隣に年配の男性がいたので、席を譲った。

揺られること、およそ20分。電車から降りた私は、先刻の年配の男性に肩を叩かれた。
「ありがとうございました」
そして、片手合掌礼。

話しかける間もなく去ったその人が、拳士かどうか知るすべはない。しかし私には、先輩が一つ教えてくれた気がしてならないのだ。自信と誇りを持って合掌礼をしなさい、と。
 (東京・錫杖風車)

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