vol.36 変わらず続くご縁に感謝

2014/09/01

aun_i_vol36主人たちの演武の仕上がり具合を確認するためビデオを撮影し、「ダメ出し」をするのが私の役目であった。後輩の私が大先輩である主人たちの演武に物申す……恐れ多いことである。しかし、私は拳士になる前から20年以上、主人の演武練習を撮影していた。ふだんは頑固者の主人も、私の見る目を信頼し、「ダメ出し」に素直に耳を傾けてくれていた。演武のパートナーと三人でビデオを再生しながら話し合うのが、私も演武に参加しているようでとても楽しかった。振り返ってみると主人は、各種行事に指導員や審判員、また一拳士として参加し、自分の夢であった野田中里道院も設立し、毎日毎日少林寺拳法漬けの生活だった。

そんな人生が突然終わってから、早いもので4年がたつ。最後まで自分の好きなことに没頭でき、主人は悔いのない幸せな人生を送ったと、妻の私も胸を張ってそう言える。

先日、主人と同期の先生から拳士歴40周年のお祝いの会を、亡くなった主人の代わりにお誘いを受けた。その席で、301期の主人が「入門があと少し早ければ200期代だった」と悔しがっていたことを話すと、201期の我が師匠も「私もあと少し早ければ100期代だった」と同じく悔しそうな顔をされていた。主人が入門というきっかけをつくってくれた少林寺拳法。すばらしい先輩や仲間との縁は主人が亡くなった後も途切れることなくつながっている。
(磯貝 昌枝)

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