vol.15 子供たちの力

2011/03/01

aun_i_vol15母親と一緒に見学に来たT君、友達である拳士の誘いもそのままに、一人遊びをする子でした。私を相手に遊ぶことはあっても、練習が始まると母親のそばに戻って離れない。そこで、しばらくお母さんは道場の送り迎えだけにしていただくよう、お願いをした。すると、その日のうちに変化が。

後日、友達と一緒に来たT君は、皆と野球をすることになった。「僕は野球はしらんもん」と尻込みをするT君。さあ私の出番、と出ていこうとしたそのとき、先輩拳士の一人が「簡単簡単、こうやるんだよ」と、手取り足取り世話をしだした。ボールを投げる子もそっとゆっくり投げてやる。周りの子供たちは「そこだ打て、T~、もう少し」と勇気づける。T君はいつしかニコニコ笑い遊びの輪に溶け込んでいた。その後の練習も、私が口出しせずとも、友達が隣にいて、不安そうなT君をかばう。皆もよってたかって基本動作や突き、蹴りを教える。

この日、T君は笑いながら元気よく、皆と一緒に帰って行った。子供たちはすごい指導者だ。子供たちに教えられた貴重な一日であった。今後が楽しみだ。
(石川大聖寺道院・大家正己)

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