vol.33
 対話する力

2014/02/01

相手の話を正しく聞き、当意即妙の答えで応じる会話は心地よく楽しいものです。そんな対話からよりよいアイデアも生まれるのでしょう。



しかし実際には、つい自分のペースで会話を進め、話を聞くことをおろそかにしてしまい、不自然な会話になってしまうことがあります。



自分の未熟さを反省しながら、古参の先生から受けたご指導を思い出します。「少林寺拳法では、まず相手と息を合わせることが大切なんだ。外すのは簡単なんだよ」とのお言葉です。



攻守入れ代わり繰り返される法形修練では、守りながらも同時に攻める側(攻者)の気持ちが分かります。二人で息を合わせて一体となるような動きの中から、五感が澄み、攻者から発せられる微細なシグナルを察知し応じる力が身につきます。「未発の先」を制することにも通じる深い教えと受け止めています。



「私」という輪郭を薄くしながら相手と一体となる「行」は、想像力や共感といった他者とつながる力をも養うのでしょう。そういった修練で身につけた力が対話も含めた日常に自然に生きてくるのが正しい「行」であることを改めて自覚し、修行に励みます。

(法務部 部長 藤井 省吾)