心のエネルギーの満タンな子・枯渇している子

2015/05/22

今回は心のエネルギーの見分け方について考えてみましょう。
 道場にやってくる子どもの様子を思い出してみてください。「今日も、元気いっぱいだなあ」と思う子もいれば、「何となく覇気がないなあ」と感じる子もいるのではないでしょうか。もちろん個性もあるので、一概には言えないのですが、心のエネルギーが満タンの子と、枯渇している子は次のような特徴が見られます。
[心のエネルギーが満タンの子]
・笑顔がよく見られる
・声に張りがある
・稽古に休まず通う
・反応が早い
・集中できる
・心が穏やかである
・指導者の目をよく見る
・友達や後輩に親切でやさしい
・道場全体の雰囲気を察知する
・失敗しても立ち直りが早い
・自分の苦手なことを避けずに取り
 組もうとする
[心のエネルギーが枯渇している子
・笑顔が少ない・表情が豊かでない
・声が小さかったり、聞きづらい
・稽古を休みがちである
・指示に対する反応が鈍い
・集中力に欠ける
・イライラすることがある
・何となく顔をそむけがちである
・人にきびしい・よく不満や文句を
 言う
・全体の雰囲気をあまり考えない
・失敗を引きづる・人のせいにする
・嫌なこと・苦手なことから逃げよ
 うとする
 心のエネルギーが枯渇している子を「性格が悪い」などととらえないことです。心のエネルギーが少なくなってくると、人はだれでも心のゆとりを失い、きびしい顔つきや声になり、イライラしたり、他罰的(自分を棚に上げ、他人のせいする)になったりするのです。
 しかし心のエネルギーが補充されると必ず変わります。
 あらゆる指導は子どもの心のエネルギーを満タンにするように行なわれるべきなのです。

 いかがですか?子どもの心のエネ
ルギー状態を踏まえると、指導はず
っと伝わりやすくなるはずです。

執筆者:菅野純 1950(昭和25)年、宮城県仙台市生まれ。早稲田大学卒業後、同大学院修了。発達心理学・臨床心理学専攻。東京都八王子市教育センター教育相談員を経て、早稲田大学人間科学学術院教授を2015年3月まで務める。現在も、不登校、いじめ、非行など、さまざまな子供へのカウンセリングに加え、学校崩壊をはじめとする学校のコンサルテーションに取り組む。<心の基礎>教育を学ぶ会会長。著書は『武道──心を育む』(日本武道館出版)など多数。