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vol.27 日常生活での全てが修行

2013/04/01

諺で思い切ったときに用いられるようになった「百間石垣後飛び」、私もこの心境で思いつくままペンを走らせることをお許しください。久米川道院の伊藤昌昭です。道院開設38年目に入りました。現在、財団法人日本ポリオ研究所に勤務しております。

私は亜細亜大学少林寺拳法部に入部後、本部合宿で聞いた開祖の法話、「正直者が馬鹿を見ない世の中にしようじゃないか」との言葉で目が覚め、当たり前のことがなぜ新鮮に聞こえるのかが不思議でした。開祖の魅力に取り込まれ現在に至っています。

その間、三崎敏夫先生(故人)との出会いがありました。大学卒業後、今の職場に勤務し運動不足から太ってしまったとき、胴体法を考案した後輩の伊藤昇氏から電話があったのです。「今、狭山道院で三崎先生のお手伝いなど、指導を受けているが、伊藤さんも少林寺拳法を続けてみませんか」とのお誘いでした。誘われるまま三崎先生にお会いし、「どうだ、やってみないか」とお声をかけていただきました。3 年以上やっていないため体が動くかどうか心配もありましたが、三崎先生から「少林寺拳法部出身なら突き・蹴りぐらいはできるだろうからすぐ入門せい」と、言われるままに入門しました。以来、火・木・土・日の週4 回、平日は6〜9 時、日曜は1〜4時まで、ハードでありましたが、がむしゃらについていきました。そして半年もたたずに副道院長の任命を受けました。

その後、道院の門信徒が辞めて少なくなり、もう少し都心に近い場所を探しました。仕事上の知人である赤羽氏(故人)が東村山市で少林寺拳法の募集を近所の商店街の方に声かけしてくださったおかげで18人が集まり、場所も水・金に八坂卓球場を借りられることに決定しました。早速、三崎先生にこちらでも指導をしていただけないかと報告したところ、「お前がやればよい」と言われ、講習会を受講。あれよあれよという間に事が進み、久米川道院開設となった次第です。私が三段のときでした。

帰山で三崎先生を通して開祖にお会いしたことがあります。開祖の前では三崎先生も正座をしていたので、私も入り口で正座をした記憶があります。開祖の「頑張れよ」の声がけもあまり聞こえないほど緊張して直視できなかったことを思い出します。

現在、職場ではポリオ(急性灰白髄炎)予防のため乳幼児に対して生ワクチンを経口投与で2 回接種していますが、生ワクチンで手足がマヒするポリオを発病する副作用が年間200 万人に1.4人の割合で生じていると厚生労働省から報告がなされています。昨今、発症の心配がない不活化ワクチンの導入を求める声が高まり、当研究所が3 種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日ぜき)を扱っている2 社と共同研究し、不活化ワクチンの製造承認に向け協力しています。ポリオを入れた4 種混合ワクチンを申請し、本年の秋口には承認の見込みです。

道院長として、一人ひとりが信念に基づいて暮らせる、平和で豊かな社会実現に努力しています。これも自他共楽ですね。仕事柄乳幼児が対象なので、日常生活での一つ一つの行動、全てを自分で制御するように修行しています。「他人の幸せを考えて行動」するとは、ダーマ信仰に基づいて他人の命と尊厳を大切にする心、全てが修行と心得て日々の生活を送る気持ちが大切です。今後も理想境建設に向けて金剛禅の教えに基づく行動をしていきたいと思います。
(久米川道院 道院長 伊藤 昌昭)

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