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vol.18 時代の変化と組織改革

2011/10/01

開祖が志を立て金剛禅教団を設立し64年の時を迎えようとしている。紛れもない唯一無二の教団と成り、道はできた。ダーヴィンは言う。「時代に最も適応できる生き物が生き残る」。今回の改革は正に生き残りを賭けた改革である。それは時代の変化であり、社会の変化への対応である。教団組織の使命、責任として社会の変化に対応していく必要があり、変えてはならない部分と変えなければならない部分に分かれる。唯一無二の教団として、未来に向って社会に必要とされ役に立つ組織としてあり続けるためには、守らなければならない過去と捨てなければならない過去がある。組織を形成している我々指導者も改革の根幹を正しく理解し、開祖が組織を創始されたときの志を知り、原点に帰ることを改革の初めとしなければならないと考える。

経営学者のP・F・ドラッカーが改革の要点について次のように解説している。「組織には二つの基本的な機能が存在する。すなわちマーケティングとイノベーションである。多くの組織が創造性を抑制しているが、新しいことに挑戦するための実験的な取り組みへの意欲は非常に重要で、脅威ではなく機会だという意識を組織全体に浸透させるべきである。体系的なイノベーションと改善とは、変化に向けての明確な組織的探究であり、イノベーションにつながる可能性のある機会の体系的分析をし、機会に関するキーワードは、変化の探究と変化に向けての体制づくり、更に変化を生かす努力である」。この解説において注目される点は、変化は脅威ではなく機会であると考えるところである。機会とはチャンスであり生かす努力が必要なのだ。

我々は易筋行である少林寺拳法を通じて、さまざまな変化に対し臨機応変に対処する技術を身につけている。おのずと、時代の変化にも自分が変っていかなければならない。そのとき輝くものを自分自身でつかまなければならない。次の時代を造るとき、捨てる勇気が必要であり、新しい物を得るためには、過去と経験を捨てることもまた必要である。人と人が勘と感性で触れ合い昂ぶれることは、苦しいことも楽しいことも含めて、素敵なことであろう。面白がれることに挑戦し、互いの気持ちを一つにして行動し、生きていることの楽しさを感じ、世の中が自分を必要とすること、必要とされることが自分自身の存在価値であり、また、世間に認知していただくことが存在の真の価値なのである。後で熱くなるのではなく我々が共有する理念、思想で昂ぶり熱くなり踏み出すことが大事だと考える。

もう一つのキーワードがマーケティングである。この市場性は時代とともに多様な変化をしており、少子高齢化、経済的破綻(リーマンショック)、そして3月11日に発生した自然エネルギーの変化、東日本大震災、特にこの震災においては多くの尊い命が奪われ、積み重ねてきた財産が海に飲まれ、人生観そのものが変わる災害に見舞われた。市場性については、刻一刻とさまざまな変化をするため、特に状況分析と市場ニーズの分析、また過去のデータとの比較、世の中が求める要素研究が必要となる。

金剛禅教団は独自性を持った唯一無二の組織であり創始から変わらぬ教義を持ち、少林寺拳法という独自の技法を持った武道団体、また学校法人を持つ社会教育団体として、広く社会の役に立てる組織でなければならない。根底に調和の思想と人づくりによる国づくりを理念に理想境建設を目指す組織として、真に世間に必要とされるために、我々指導者が人の霊止たる我を認識し、自分の可能性を信じ、組織改革の意義を理解し行動すべきときが正に今なのである。

(岐阜御嵩道院 増田計義道院長)

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