第2回 女性の更年期のサイン

2015/06/25

第2回 女性の更年期のサイン

 コース制には、たくさんの女性が参加しています。かつて、私たちが、都内の病院で、「転倒予防教室」を運営していた時、参加者の実に9割が女性でした。一般的に、中高年向けの健康教室、文化サークルなどの社会参加志向は、圧倒的に女性優位であることが知られています。
 しかも、女性参加者同士、初めての出会いであっても、あたかも古い友人・仲間であるかのように親しくなり、楽しくおしゃべりができます。つい過去にとらわれがちな男性中高年と違い、今を生きる女性たちの明るさとたくましさには脱帽です。
 一方、中高年女性が必ず経験するのが更年期とそれに伴う様々な症状・障害です。中には激しいめまいに襲われて救急車で搬送される例さえあります。「更年期なんて、ない方が良いのに!」と嘆く女性の声もしばしば聞きます。ただし、女性の更年期のサインには、重要な意味があるのです。
 10代で初潮を迎えてから、以後ほぼ毎月の月経を経験し、多くの女性が妊娠・出産、育児を経験します。出産時のトラブルで生命を脅かされることさえあります。
 そうした変動の多い若い時期を経て、月経停止を契機に、以後は、安定した健康で活力ある人生を歩む、その節目となるのが更年期なのです。からだが大きく変化し、それまでの若い頃とは違うことを教えてくれる症状が更年期障害ととらえることができます。男性よりも7年余り寿命が長いのは、それまでのからだに負担をかけてきた若い時期へのご褒美なのでしょう。
 更年期を過ぎた女性だからこそ、少林寺拳法を通して、より輝く日々を過ごす権利があるのです。

執筆者:武藤芳照 学校法人 日本体育大学 日体大総合研究所所長、日本体育大学保健医療学部教授、東京大学総長顧問/名誉教授。1950(昭和25)年、愛知県生まれ。75年、名古屋大学医学部卒業。80年、名古屋大学大学院医学研究科修了。93(平成5)年、東京大学教育学部身体教育学講座教授。95年、東京大学教育学研究科身体教育学講座教授。2009年、教育学研究科長・教育学部長。11年、東京大学理事・副学長ならびに政策ビジョン研究センター教授。ロサンゼルス、ソウル、バルセロナ五輪の水泳チームドクター。