第2回 水から健康に

2016/06/28

健康のために運動・スポーツを続けている中高年が増えています。少林寺拳法に限らずゴルフ、テニス、ウォーキング、水泳、登山など、いずれも気分を爽快にさせ、健康を増進し、生活習慣病を予防する効果もあり、無理なく楽しく永く続けるのがコツです。

 運動をする時に大切な注意の一つが、「水を飲むこと」です。運動すれば、当然汗が出ます。汗以外にも皮膚からそして呼吸により水分は失われていきます。したがって、運動が終わった時には、その前よりもからだの水分が少なくなっており、しっかり水分補給しなければ脱水傾向をきたし、さらには血液が固まりやすくなり心筋梗塞などの心臓血管系、脳血管系の重大事故を起こすリスクも高まるのです。

 運動後にサウナに入って汗を出し、その後、冷たいビールを飲んで利尿作用でさらに水分が失われ、自宅に戻って就寝中の朝方に重大事故という実例もあります。

 また、若い時よりも水分が失われて「ノドが渇いた」という感覚も遅れてきます。そのためにそう感じた時には、からだの脱水状態は、かなり進展しているタイミングとなってしまうのです。「ノドが渇いた」と感ずる前に飲むのが、中高年の運動を元気で長く続けるコツなのです。

 昔は、「運動中に水を飲むな!」「運動中に水を飲むとバテやすくなる」「動きがにぶくなる」と言われていましたが、いずれも、「まちがった常識」なのです。

 健康プログラムで健康を害することのないように、「自ら健康に 水から健康に」をお忘れなく!

執筆者:武藤芳照 学校法人 日本体育大学 日体大総合研究所所長、日本体育大学保健医療学部教授、東京大学総長顧問/名誉教授。1950(昭和25)年、愛知県生まれ。75年、名古屋大学医学部卒業。80年、名古屋大学大学院医学研究科修了。93(平成5)年、東京大学教育学部身体教育学講座教授。95年、東京大学教育学研究科身体教育学講座教授。2009年、教育学研究科長・教育学部長。11年、東京大学理事・副学長ならびに政策ビジョン研究センター教授。ロサンゼルス、ソウル、バルセロナ五輪の水泳チームドクター。日本転倒予防学会理事長。

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