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進学・就職・結婚というライフステージを経ても 少林寺拳法を続けられる指導・支援をしていきたい

2018/12/25

高知大学OB 岡田俊介氏に聞く

Q 少林寺拳法との出会いは?

岡田 中学校時代の同級生が少林寺拳法を習っていたことがきっかけで、誘われて道院へ行きました。そこで、突き・蹴りだけでなく、抜きや投げなど多彩な技法があることを知り、剛柔一体に込められた技の奥深さに感銘を受けた事を今でも覚えています。体験後、すぐ自宅に戻り、親に対して「少林寺拳法を習いたい!」と伝えますが、当時陸上部に所属していた私に対して親は「もし喧嘩になる場面があれば、あなたは短距離選手だから走って逃げなさい。あなたが手を出す術を習う必要はない」と言いました。高校進学後も、体験に誘ってくれる友人がいて、その度に何度も親に習いたいと伝えますが、許可してもらえず、私は書店に行って少林寺拳法の連続写真の本を読むなど、少林寺拳法を独学で学ぶ日々が続いていました。そして大学進学後、親が「好きにしていい」と言ってくれたので入会することができました。

Q 大学時代の少林寺拳法部は、どんな思い出がありますか?

岡田 恩師との出会いと、恵まれた先輩・後輩が私の少林寺拳法人生を大きく変えました。私は大学時代、少林寺拳法部に入部していましたが、小学生の頃から続けていた陸上競技も好きだったので、大学陸上部にも入部していました。そのため、平日は夕方から陸上の練習をして、その後に少林寺拳法部の練習に行く日々が続いていました。

 そして大学2年の秋、少林寺拳法部の主将を務める事となり、同じ学年の拳士がおらず、事務手続きも全て私が担う事となった時、先輩たちが様々な面で支えて下さっていた事に気づきました。また、その頃、陸上部では短距離ブロック長も務めていたので、休日も部活行事で過ごす日々でした。

 そしてある日、少林寺拳法部の練習に遅れて行くと、当時の監督である池本孝一先生に「主将のお前が、毎日練習に遅れてきてどうする。後輩たちを困らせるな。お前が練習に来ないなら、わしは監督を辞める」と言われました。この言葉が、私の少林寺拳法生活にとって大きなターニングポイントとなりました。自分のやりたい事と役職に就いて部活運営をする責任を見つめ直し、私は陸上部を退部しました。中学時代から習いたかった少林寺拳法と向き合い直し、監督の道院へも出稽古して、少林寺拳法に没頭する日々が始まりました。

Q 少林寺拳法は、その後の人生や仕事にも影響がありましたか?

岡田 学生時代は「今の自分に何ができるか」という考えを持たせてくれたのが、少林寺拳法でした。大学院時代、市役所でのインターンシップで、防災対策について学ばせて頂く機会がありました。近い将来起こるとされる南海トラフ地震に対する防災対策は、高知県にとって喫緊の課題とされていますが、限られた予算の中で進める対策は、地域住民から寄せられるニーズに対応しきれない部分もあり、その場面をインターンシップ中に見る事もありました。短期間のインターンシップではありましたが、大学生の立場から防災対策に貢献できることはないかと考え、インターンシップ後、大学内に防災教育支援サークル「高知大学防災すけっと隊」を設立し、県内の小中学校で防災授業を展開しました。同団体は、設立から10年経過する今も活動を拡大しています。

 そして、社会人になってからは「今の自分が周囲に対して影響を与えられる事はないか」と常に少林寺拳法は自分に問いかけてくれます。特に、毎月開催される武専コースは、世代を超え、県外の幹部拳士とも交流できるため、明日を前向きに行動するきっかけと、変わる自分を実感できる環境です。武専終了後、「また今度な! 次回も頑張ろうな!」と互いに声を掛け合うと「自分も他人に何かプラスな影響を与えられる人材になりたい。明日から自分、周囲のためにも頑張らなければ」と気づかせてくれます。

 少林寺拳法は、私にとって、そして私の周囲の人々にとって、エネルギーの源です。

Q 現在の近況と、今後の抱負について

岡田 私は大学院修了後、民間企業・専門学校での勤務経験を経て今、高校で教員をしています。日曜日を除いて高校部活指導を終えた後、大学での指導あるいは道院での修練をする日々が続いており、体力的にも辛い事が多いですが、生徒・学生たちの笑顔と成長が疲れを吹き飛ばしてくれます。多くの生徒・学生と関わる中で、私は生涯修行といえる物を生徒・学生に早く見つけてもらいたいと思っています。そして、生涯修行となる物が少林寺拳法であってほしいと考えています。共に修練してくれる仲間、教えてくださる指導者、修練できる環境・時間が揃わなければ、少林寺拳法はできません。常に何かを気付かせてくれる、そして、時に疲弊した自分を支えてくれるのが少林寺拳法であり、また拳士であると思うので、進学・就職・結婚というライフステージを経ても少林寺拳法を続けられる指導・支援をしていきたいと思います。

岡田俊介氏 プロフィール

高知大学大学院修了。同大学少林寺拳法部に入部して少林寺拳法を始める。大学院修了後、故郷で一度就職するが、高知へ転職。その後、同大学少林寺拳法部部長となり、昨年には高知中央高校少林寺拳法部を設立。一般財団法人少林寺拳法連盟評議員。高知県少林寺拳法連盟理事。家族構成:独身(一人暮らし)