2017年冬号 会長室から〜重点課題の検証〜 

2020/01/14

2017冬号 会長室から(PDF原稿はこちらをクリック)

会長室から〜重点課題の検証〜 聞き手/振興普及部 大原 一純

Q.春号で、組織運営方針の筆頭に「2025年問題」をあげられておりましたが、今年の取り組み状況をお聞かせ下さい。

A. 7年後、団塊世代が75歳以上となる高齢化社会は、医師や看護師を始め多種業界の人財不足、介護負担や社会保障費の増大、痴呆症・介護・高齢者虐待問題、生産年齢人口の減少、事業・文化後継者問題など、国家に深刻なダメージをもたらします。これらは、少林寺拳法の指導者にも影響を与えますので、支部長や幹部の負担を減らしながら、モチベーション高揚を図る為、手続きの簡素化(権限委任含む)を推進しながら、複数指導者制度の確立、部長・監督研修会の各地開催や、健康プログラムの指導者(MC)資格も2年更新となります。社会補償制度の破綻回避については、政府の改革と並行して、高齢者が極力健康状態で長生きできる仕組みづくりに貢献したいと思います。今年は、少林寺拳法健康プログラムの高齢者向けプログラム製作に協力しました。

Q.春号で、組織運営方針の二つ目に掲げた青少年育成についてお聞かせ下さい。

A.世界第三位の経済大国である日本も、50年後には人口が8000万人代となる可能性があり、超少子高齢化対策に追われ、急速にその主導権を現在の新興国に明け渡す時がくるかもしれません。歴史的大転換期を迎える世界は、科学技術文明に相応しい、より高度な精神文化の創造を求めてゆかねばなりません。高度な科学技術も、人間性が希薄な者が使用すれば、人類にとって不要な長物となります。今、人類が取り組むべきは、人間同士の助け合い、自他共に幸せになれると願う人間性そのものの進化です。どんな理想を掲げている団体も、常に他を否定し、対立し、内部抗争に終始していては、社会的存在価値を発揮できません。少林寺拳法が理想とする人間像に育った若者が、社会で活躍することは、未来の社会、人類にとって価値あることだと思います。そこで今年は、大学生合宿においては、「少林寺拳法が理想とする人づくり」をテーマに社会で役立つ人財育成に貢献をすべく、学生対象の支部長資格仮認定研修を実施し、542名が仮支部長資格を取得しました。各種指導者研修会では、人づくりを担う指導者の魅力づくりに重点を置きました。次年度は、少年部講習会を復活し、スポーツ少年団部長は、部長監督研修会に変えて受講頂きます。少年部委員会では「少年部指導における指導要領」をとりまとめており、また振興普及部では、「人づくり」と、「魅力ある指導者づくり」の共有化運動を提案する予定です。幹部も方々へも支部長とご一緒に参加を呼びかけます。

Q.夏号で、重点課題に、「新団体会員制度を検討中」とありましたが、どのような制度でしょうか?

A.少林寺拳法は、1977年の日本武道協議会発足と同時に、現代武道9武道団体として加盟しました。1990年には全国日本体育協会の加盟し、さらに1992年、創始目的を変えないために財団法人化をしました。これらは、真の武道団体として護身の技術の在り方を堅持すること、スポーツとしても日本国民の公益に期すこと、他団体との識別能力を高めることなどが目的であり、国からも武道団体からも、そしてスポーツ団体としてもその信頼性を確立してきました。今回の新団体会員制度は、世界でも例を見ない超少子高齢化時代を睨み、当連盟が所属する日本武道協議会と全国日本体育協会と関係する地域武道館や体育館施設を利用して、全年齢対象で地域に貢献しようとするものです。

Q.具体的には、どのような支部なのでしょうか?

A.まず、武道館支部とは、公益財団法人日本武道館が統括する「全国都道府県立武道館協会45団体(新潟・長野は2019年設置予定)と連携する都道府県武道館と、各都道府県の公立武道館協会と連携する武道館の使用許可をとって開催する少林寺拳法教室です。次に、体育館支部とは、体育協会に加盟している(少林寺拳法協会が設置されている)地域において、体育協会または都道府県及び市区町村が管理する(委託会社を含む)体育館の使用許可をとって開催する少林寺拳法教室です。

Q.この二つの支部の特徴とはどのようなものでしょうか?

A.組織運営方針に基づき、以下のような特徴があります。

⑴少子高齢化社会を前提に全年齢を対象として地域に貢献する。⑵指導者の負担軽減の為、複数指導者制度とする。部長資格認定研修会を受講した副支部長は、各種会議や研修会に公式に部長代理出席できる。⑶若手指導者養成のため、支部長・副支部長を50歳未満とする。⑷支部長が認めた五段以上の拳士は「支部指導員」に任命し、指導員のフォローや育成を担う。支部長・副支部長は50歳を過ぎると支部指導員として、指導者を育成するため、生涯少林寺拳法の高位の指導者として活躍してもらう。⑸幹部にMC資格を取得頂き、健康プログラムの指導を頂くよう推奨する。なお、副支部長の部長代理制度と、支部指導員制度は、新団体会員以外の所属にも適用されます。

Q.来年に向けて抱負をお願いします。
A.創始70 周年は、一通過点で、あくまで過去と未来を繋ぐものです。
少林寺拳法の持つ独自固有の文化を大切にしながら、世界で一つの少林寺拳法を、さらに正しく普及してゆきたいと思います。皆様、よろしくお願いします。