2017年秋号 会長室から〜世界大会〜

2020/01/14

2017秋号 会長室から(PDF原稿はこちらをクリック)

会長室から〜世界大会〜  聞き手/振興普及部大原 一純

少林寺拳法創始70周年記念2017少林寺拳法世界大会inカリフォルニア,USAについて、WSKO事務総長でもある連盟会長にお伺いします。

Q. 世界大会は様々なイベントが多数あると伺いましたが、川島会長はどのような日程を過ごされたのでしょうか?

A 7/30(日)には世界大会、続いて7/ 31(月)〜8/2(水)の3日間、国際講習会が開催されました。私は一足早く現地へ入り、7/27(木)には宗由貴WSKO会長とともに在サンフランシスコ総領事館を表敬訪問いたしました。山田淳総領事とお話をしますと、武道の在り方について非常に関心をお持ちの印象でした。教育と武道の精神の共通性や、特に日本人としての品性、あるいは人間性という観点からも、武道の必要性をお持ちでいらっしゃいました。また、野村宏之副領事は、香川県多度津町の隣、丸亀市のご出身と伺い、驚きともに深いご縁を感じました。7 /28( 金)は、終日にかけてWSKOの理事会や総会といった重要な会議に出席、そして 7/29(土)は特別昇格考試が開催されたほか、審判員会議、指導員会議が行われました。非常に慌ただしい日程の連続でしたが、講習会では私も全体修練や資格別技術で指導をさせていただきながら、皆さんとの交流を楽しみました。

Q. 国際会議では、どのような話がおこなわれたのでしょうか?

A 4年に1回招集される定時総会では、会長、事務総長である私、理事、各国代議員の出席により開催し、次の議題が話し合われました。

Ⅰ、「WSKOの事業と財政について」この中で、2017年度〜2020年度の中期事業計画として以下の点が確認されました。(1)少林寺拳法グループ(少林寺拳法世界連合)のビジョン「少林寺拳法の教えのもとに、確固たる、世界一流の幸福運動を展開するグループになる」(2)重点課題①知財管理と積極的広報②教育システムの充実③講習会、合宿、研修会の充実④財政の安定化

続いて、Ⅱ、「各国からの提案事項」、Ⅲ、「その他報告事項」についても話し合われました。4年に1度、同じ志を持ち世界各国から集まる、それぞれの国を代表する方々とこうした意識の統一が出来る事は、非常に有意義と感じています。WSKOの最高運営機関である理事会では、前年度の事業報告や収支決算報告、中期事業計画、WSKO諸費用の金額および分類の見直し、次期評議員の選出、2025年以降の世界大会・国際講習会開催国について等が話し合われました。WSKOが結成されたのが1974年、それ以降加盟国数は増えてますが、そうした中、政治、文化、経済状況等の違いを乗り越え、いかに知的財産を守り、この普遍的固有の文化を広め、後世へ伝えていくかという課題と向き合いながら、こうした会議で組織の舵取りを行なっています。

Q. 世界各国の役員、指導者は勿論、地元有識者も参加された祝賀会の雰囲気はいかがでしたか?

A 祝賀会は、大会が開催された晩にホテル内の会場で開催されました。円卓への着席形式による食事で、各テーブルごとに会話を弾ませ楽しんでいました。パーティーの半ば、混声合唱団による合唱が披露されました。この合唱団はサンフランシスコで活動し、その名称が今回の世界大会のテーマと同じ「かけはし」、そしてその合唱団の中には拳士もいらっしゃいました。また、カリフォルニア州に拠点を置くナショナルフットボールリーグチーム「オークランドレイダース」のチアリーダーによる本格的なダンスを目の当たりにし、その迫力や演技に見入りました。ご来賓のトム・トーラクソンカリフォルニア州教育長官は、今回この世界大会を通じて更に少林寺拳法の教え、在り方について共感され、興味をお持ちくださいました。少林寺拳法の素晴らしさをスピーチいただいたほか、「我々の世界に平和の礎を築くために国際的な有効関係の架け橋を築いている思慮深い指導性に深く感謝の意を表します。」「貴団体の多大なる貢献と素晴らしい思想をここに称えます。」という内容の認定書をいただきました。 和やかで楽しい雰囲気のもと、少林寺拳法の教えや活動について話が弾み、その中で、異文化の地ではありますが少林寺拳法の教えが快く受け入れられたことが、とても印象的でした。

Q. 参加者は、世界大会のテーマ「自ら架け橋となろうより良い世界を、ひとりひとりから」についてどように受け止めていたのでしょうか?

A アメリカには現在30を超える支部があり、連盟も結成されています。しかし地元のアメリカの社会にもっと少林寺拳法を知ってもらいたいとアメリカの拳士達は感じていたようです。また、その他の国々からの参加者も、自分自身の国レベル、或いは世界レベルで平和な社会の実現について地道にでも努力していかねばと誓い合い、4年後の世界大会での再開を約束していました。今回、世界大会には論文の部がありました。言葉の壁を乗り越えて、開祖の説かれた自他共楽の教えを分かち合いましたが、こうした本質部分を共有する輪を広げ、仲間を増やせたらと私も感じています。 

Q. 今後の世界大会の課題はどのようなものがありますか?

A 今回、世界大会と国際講習会を併せ、22カ国からの拳士がアメリカのカリフォルニア州サンマテオ市に集まりました。加盟国の半数以上の国々が集まる事ができましたが、少林寺拳法が多くの国に普及した反面、国を越えて一箇所に集まることには様々な問題があります。経済面、宗教、テロ等の安全性、会場や国内移動や宿泊の確保等。今回の理事会で、次回以降より原則日本での開催が決まりましたが、更に少しでも多くの国から多くの人が参加できる世界大会としたいと思います。また、併せて開催される国際講習会とともに、内容を充実させ有意義にしていきたいと思います。