2018年春号 会長室から〜3ヶ年方針と重点課題〜

2020/01/15

2018春号 会長室から(PDF原稿はこちらをクリック)

2018年春号 会長室から〜3ヶ年方針と重点課題〜  聞き手/振興普及部 大原 一純

Q 2018年度からの〝3ケ年方針〞とは、どのようなものなのでしょうか?

A 昨年の創始70周年には、拳士の皆様方へ「架け橋たれ」と呼びかけ、部内外への繋がりの強化や、新たな関係づくり行いました。一財連盟は、これまで通り、主に青少年を対象とした〝真の武道※による人づくり〞と言う独自性を育みながらも、80周年に向けて、この3ケ年は、中高年、高齢者各層の皆様方にも元気を持って頂けるよう活動展開をしてゆきます。そのためにも、「人づくりの行としての少林寺拳法」や「身心の健康増進を楽しむ少林寺拳法」が、ライフサイクルに組み込まれるよう、柔軟な各種制度や環境づくり、及び、効果的な指導法、修練法の情報共有が急務だと考えています。さらに、若手指導者並びに女性指導員の養成に力を入れていきます。※(勝利至上主義や技術の優位性を誇るのではなく、己を修め、他者の役にも立つ武道)

Q 2018年度の一財連盟の重点課題についてお聞かせ下さい。

A 昨年度の重点課題を補完する4点について説明します。

①支部長・幹部の指導技術の向上と共有化

 活気のある支部や部活、クラブは、新入会者や保護者から見てとても魅力的です。その魅力の根幹は、支部長や監督、コーチ、クラブリーダー、幹部の人間力であり、かつ、会員を元気づける各種ノウハウです。本年度は、支部長や、部員、保護者から寄せられたアンケートや声を整理して紹介するとともに、支部長・幹部の教育指導技術の向上と、その共有化運動を展開し、〝支部の活気づくり〞、〝会員の元気作り〞のための冊子や補助教材などを製作したいと思います。

②社会状況に即応した組織づくり

 少年拳士が中学に進学した際に少林寺拳法を継続できるよう、中学校に少林寺拳法部がない場合の部活問題の検討や、中学生や高校生拳士に憧れを持ってもらえるような取り組みを行いたいと思います。また、受験や就活並びに、就職直後の多忙な時期に少林寺拳法を継続、または関わりが持てる仕組みづくりも重要課題です。身心の健康が気になる中高年齢者の入会や復帰については、個人の体調や希望などにより、痛みを緩和する剛法(攻撃や受け)、手首や関節を痛めない柔法、その他無理なく修練ができる指導方法などを共有してゆきたいと考えています。最近、「人生百歳時代」と言う言葉を耳にしますが、健康寿命に貢献するために、身心の健康増進と介護支援事業にも有効な少林寺拳法健康プログラムを採用したクラブづくりを展開していますが、今後は、既存の支部内でも、その普及の充実を推し進めたいと思います。

③普及活動の促進

 4月より学校教職員連盟の設置が完了し、現在19都道府県教職員支部に加え、さらなる支部設立がしやすい環境が整いました。また、4月より新たな支部の種別として、武道館支部と体育館支部が設置されました。会社、官公庁、8都道府県支部が設立されている警察支部とともに、各種別の支部設立の促進をサポートしてまいります。新規会員獲得、継続・復帰率向上のための各種ノウハウについては、支部長・監督研修会や各種講習会・合宿などにおいて情報共有化を図ってまいります。そして普及活動に一番重要な〝支部の魅力づくり〞、〝支部長・幹部の魅力みがき〞に期待を致します。

④中学校保健体育授業武道必修化

 若者の「生きる力」を促進しようと文部科学省が定めた学習指導要領に呼応する形で、2012年に、中学校保健体育授業武道必修化が採択されて5年が経過しました。昨年は、日本武道館の全面協力を得て、中学武道必修化プロジェクト委員会が、授業のプログラムや採点マニュアルを完成しました。今年1月、東京研修センターにて、普及促進の特別研修会を、文化庁の支援を受け、各都道府県中学武道必修化推進委員を対象に開催しました。9月には千葉県勝浦市で開催される指導者研修会に、授業採択に興味をお持ちの中学校体育教諭(少林寺拳法未経験者可)や部外派遣指導員(有段者)にお声がけ頂き、ご一緒に参加頂くよう、各都道府県連盟推進委員にお願いをしております。2020年度からは、高校授業の武道採用が予定されていますので、〝中高武道授業の採択を推進してゆきたいと思います。目標は、各都道府県に2校の設置です。ぜひご協力をお願いします。

Q 今後の抱負をお願いします。

A 少林寺拳法は、創始以来、その在り方や行動が評価され、着実に発展をしてきました。1980年から1990年代の映画や各種格闘技ブーム時期には、マスコミの作ったイメージの影響もあり、いわばバブル拳士ともいえる状況も発生しました。しかし、日本人口は2008年の1億2800万人をピークに減りはじめ、現在の18歳人口約120万人も、国立社会保障・人口問題研究所によると、2031年度には100万人をわると予想しています。2018年より18歳人口が減少局面に入り、既に4割の私立大学では学生数の定員割れ状態の中、文部科学省は、地域の国公立私立大学をグループ化し、新法人を設立して大学再編制度の導入政策を発表したほどです。このままでは当然拳士数も減り、少林寺拳法の普及活動にも影響をきたすことが予想されます。会員の会費で賄われている一財連盟の事業活動も縮小をせざるを得なくなります。そこで、一財連盟では、前述した普及活動の促進とともに、効果的・効率的な収支計画と遂行ができる環境を作ってゆかなければなりません。既に、各都道府県連盟・各連盟には、各種ご協力のお願いをしております。今後は、支部長・監督・幹部、皆様方と、会員の継続性や復帰、新規入会者の獲得、社会で役立つ組織づくりなど、少林寺拳法の未来を一緒に創造して参りたいと思います。