2018年秋号 会長室から〜都道府県連盟・各連盟理事長会議〜

2020/01/15

2018秋号会長室から(PDF原稿はこちらをクリック)

会長室から〜都道府県連盟・各連盟理事長会議〜  聞き手/振興普及部 中山 京子

Q 都道府県連盟・各連盟理事長会議(以下「理事長会議」という)は、毎年香川県での開催でしたが、なぜ今年は、香川、名古屋、東京で開催したのでしょうか?
A 一財連盟の約1200支部は、全都道府県に普及しています。その種別は、幼稚園や学校関係、実業団、官公庁、自衛隊、スポーツ少年団、総合型地域スポーツクラブ、健康クラブ、体育館・武道館支部と多岐にわたります。これらの支部は、都道府県連盟や、実業団、自衛隊、学生、高校、中学生、全国教職員連盟などの連合体組織に加盟・準加盟して、互助・親睦を図っています。さらに、連合体間でも連携し、協力をし合って活動を展開しています。香川県一か所での理事長会議は、傍聴を含め200名を超え、十分な意見交換が難しい環境でしたので、今回は三カ所に分散し、各20名程度の少人数で懇話会形式にて行いました。

Q 今回の主な内容は、どのようなものだったのでしょうか?

A はじめに、私より、「暴力・体罰・各種ハラスメントの根絶の徹底」の呼びかけと、2018年度重点課題の説明を行ないました。次に内局より、新制度発足と各種規程および支部長必携の改定、新たな連合体の事務取り扱い要項の周知。そして、今回のメインである、「活気ある組織づくり」について、ディスカッションを行いました。

Q 三カ所での会議開催ですと、各理事長は、他地区の状況がわからないと思いますが、どのように対応をされたのでしょうか?

A 事前に改定された連合体の事務取り扱い要項を送付し、16ページのレポートの提出と共に、様々な質問、提案、意見も頂きました。理事長会議では、新たな質問や提案が多数あり、その場で可能なことは回答をしました。後日、事前に受けていた質問とともに、QA事項をまとめ、理事長と事務局長へ通知し、情報共有を図りました。

Q 理事長は、何に一番関心があったのでしょうか?

A 一番多かったのは、本年度の重点課題である「活気ある支部づくり」についてです。会員の増加や継続率向上、広報の具体的方法論、続いて、支部長のモチベーション向上、中高年支部、健康プログラム、諸制度等についての順でした。

Q 一番関心が高かった「活気ある支部づくり」については、どのような結論になったのでしょうか?

A 拳士増加や継続率向上の施策では、一財連盟が映画製作をしたり、マスメディアによる積極的広報を展開したり…という意見から始まりました。続いて、一財連盟の諸制度や仕組みの見直し、チラシやポスターの製作などの要望が出されました。しかし途中から、指導者や幹部の指導技術の向上、支部の運営方法の話が中心となりました。事務局より、辞めていった拳士とその保護者の本音や、大学生の悩みについて、具体的事例の説明を行った後は、次のような意見が多数出され、活気ある支部とそうでない支部とでは、指導者や幹部の言動が、いかに違うかが見えてきました。

(理事長の主な意見)

◎会員獲得は広報活動も重要な手段だが、地域活動にて他武道との違いや少林寺拳法の在り方、特に生涯修行であること、他人との比較競争ではないこと等の周知が大切だと思う。

◎人づくりには時間がかかるため、会員の継続率向上が重要であり、継続することの喜びを分かち合うことが大切で、在籍会員に真摯に向き合うことだと思う。

◎ただチラシを多数まいてもあまり効果がなく、また、口コミは一番効果があるが、拳士や保護者との信頼関係や、満足度向上なくしては、口コミも発生しない。

◎復帰者の増加は、在籍時の印象が重要で、日ごろの地道な努力が必要である。◎指導者の人間力、技術力に憧れ、自分も指導者になりたいと思えるかどうかだと思う。

◎大学生を上から押さえつけるのではなく、一人の人間としてその存在を認め、将来も少林寺拳法を続けたくなるように接することが大事だ。◎川島会長より説明があった重点課題(指導技術の向上、社会状況に即応した組織づくり、普及活動の促進)は、各支部や個々だけではなく、地域やチームで事にあたり、粘り強く継続性のあるものにすべきだと思う。

Q 今回の理事長会議で、会長はどのようなことをお感じになられましたでしょうか?

A 仕事、家庭、支部運営や学校の監督を兼任しながら、各連盟の長として、本当にお忙しい中、少林寺拳法の未来や拳士のことを真剣に考えておられることが、あらためてよくわかりました。特に、支部や組織の活性化については、その答えを理事長や支部長は既にお持ちであり、本部はこれをいかにスピーディーに支援をしてゆくかが重要だと思いました。今年の支部長・監督研修会の資料には、支部運営にお役立ちできるデータ、アンケート調査などを掲載しました。次年度は、理事長のご意見を参考に、様々な情報や、指導者の指導技術向上に役立つ共有化資料をとりまとめ、支部長へ還元してゆきたいと思います。

Q 最後に、近年、スポーツや武道界の不祥事が社会問題となっていますが、このことに対して、会長としては、どのように取り組んでゆく方針でしょうか?

A 拳士、保護者から寄せられる苦情や、拳士が辞めてゆく理由、大学生からの相談の多くに、昔は当然のごとく行われていたことも、現在では極めて違和感のある、または非常識な行為に感じられているかについて、具体的事例を示して紹介をしました。指導者や幹部、先輩が、自分の経験や体験に基づき常識だと思い言動していることも、新入会者や保護者が経験、体験してきて今頭の中にある常識感とは異なっていることに気づくことが大切です。そして、このような問題を見聞した際、周囲が何のフォローもしないときに、人は去ってゆきます。常に「常識を更新し続ける」ことを、全指導者に呼びかけて参ります。