2019年夏号 会長室から~2019年度新たな取り組みについて~

2020/01/16

2019夏号会長室から(PDF原稿はこちらをクリック)

会長室から~2019年度  新たな取り組みについて~

担当/大原 一純

◆最近の新たな取り組みをご紹介ください。

 会員と指導に関する調査研究(一財連盟の事業目的④⑤)に力を注いでいます。少林寺拳法の教えと技法の素晴らしさは不変ですが、若者の身体や精神力、価値観、社会常識も大きく変わっている中で、従来の指導法や、理不尽な部活ルールは、通用しない時代です。特に、辞めてゆく拳士や保護者の本音、ハラスメント発生の要因を分析した結果、「指導技術の向上と共有化」は、喫緊の重要課題です。

【一財連盟の事業目的(定款より)】

開祖が創始した少林寺拳法の正しい普及・振興を図り、もって国民の健全な身心の発達及び公益の増進に寄与することを目的とする。

①少林寺拳法の普及及び指導に関する事業   

②指導者の養成

③各種大会、講習会、研修会及び研究会等の開催並びに指導者の派遣に関する事業

④会員の承認及び会員に対する調査・研究

⑤少林寺拳法の技術指導・学科指導に関する調査・研究

⑥少林寺拳法に関する機関誌及び図書等の発行

⑦青少年教育関係諸団体及び武道、スポーツ団体との交流

⑧その他、当法人の目的を達成するために必要な事業 今年は、「社会に向けた公益活動」を促進中です。

 ◆「指導技術の向上と共有化」とは、どんな取り組みですか?

 かつて“失敗は成功の基”といわれていましたが、近年は、減点・欠点指摘型の影響で、チャレンジ精神(向上心)が失われる傾向にあります。子供達だけで外で遊ぶことは危ない!とされ、屋内でゲームに夢中になる子供たちは、基礎体力づくりや、言葉によるコミュニケーションの機会が減り、集団で遊んだり、チームでの成功体験がないまま、成長期を過ごしてしまいがちです。少林寺拳法の道場や部活には、体力づくりや、体と言葉のコミュニケーションにより、自らの可能性を信じ、主体性を持ち、他人のことを考え、行動しながら仲間づくりが行える環境があります。しかし近年、拳士の「コミュニケーション能力の低下」、「価値感の多様化」、「発達障がい」、「身体の発育発達障がい」、「体罰・ハラスメント禁止」などに直面した指導者は、指導技術を磨く必要に迫られています。文部科学大臣やスポーツ長官の通達、日本スポーツ協会会長メッセージからも、プレイヤーズファースト(拳士が主役)の意識づけや、コーチング導入の要請があります。 そこで、指導者研修会では、拳士や保護者からの本音をご紹介しながら、コーチングの基本的な在り方を確認してきました。本年度は、指導技術向上「コーチングとコミュニケーション力向上、少年部の発育発達トレーニング法」について、専門家を招き学びます。研修会受講者には、以下事前レポートしてもらい、研修会が終了した時点で、支部長や受講者に、これら指導法を冊子にまとめ情報共有しています。(下記参照)

  テーマと事前課題 指導技術の共有化
2016年度 魅力ある指導者について 学生・保護者アンケート
2017年度  活気ある支部づくりについて 支部長・監督アンケート
2018年度  発達障がい児童の対応方法について

暴力・体罰・ハラスメントの撲滅について技法、トレーニング方法

2019年度  コーチングの目的と方法について 少年部指導法(技法と人づくり)・中高年指導法(健康)

研修会は、アクティブラーニング形式で、グループワークとチーム発表を通じて、受講者同士の情報共有ができるプログラムとし、指導技術の向上を楽しんで頂きます。先生方の魅力を倍増して頂き、拳士にさらなる元気を与えて頂きたいと願っております。

◆ 時代に即した組織体制については、どのようなことにとり組まれているのでしょうか?

 近年、コンプライアンス( 法令遵守)、ガバナンス(危機管理)、ディスクロジャー(情報開示)が求められてきましたが、スポーツ・武道団体の事件を背景に、その徹底が求められています。暴力、体罰、各種ハラスメントの根絶については、会報や学生大会での学連委員長が撲滅宣言するなど意志表示を行っております。研修会、講習会、合宿では、「ハラスメントをしてはならない!」ではなく、拳士、後輩の目標を理解してサポートをしよう!」、「拳士、後輩に元気が出る声かけを!」というポジティブメッセージを発信しています。また、新井前会長からの引継ぎ事項である大学生のアンケートをとり続け、「理想とする指導者像や、部活動での困っているこ、嬉しかったこと」などを分析しました。

「本部合宿には、行きたくても、資金的・時間的余裕がない」学生が多いこともわかり、各地における連盟本部主催の合宿開催を計画中です。昨年度、新たに任命しました女性を含む学生指導員には、学生指導者研修会を受講いただき、学生を取り巻く環境や悩み、ティーチングとコーチングの併用などを共有した後、各地において活躍してもらう予定です。立合評価法については、参加者には安全管理とルール・マナー、審判には、審判技術レベルアップを図れるよう、講習会の内容を充実します。不特定多数へ向けた公益活動については、護身術講座、少林寺拳法体験、少林寺拳法健康プログラム体験、宗道臣デー、学校体育授業の少林寺拳法指導などを展開しています。 本年度は、これらを広報したいと、各都道府県連盟・各連盟へ、協力要請をしています。最後に、10月19-20日に、「シャイニングフェスタ」を開催します。これは、「人はいつまでも輝き続けて欲しい」という願いを込めて、少林寺拳法健康クラブリーダーの研修会とともに、クラブ会員や拳士の練習会、交流会、発表会、中高年拳士の身体を壊さない修練方法の紹介、さらには、少林寺拳法グループにて、地元の町民の皆様にもご参加いただき、健康について考え、体験していただくイベントを企画しております。

  1997年 2017年
自分は幸せ(豊か)な方だ   77.6%  91.4%
一番欲しいもの ゲーム機器、ゲームソフト   スマホ、TV、PC
遊びより勉強が大事 36.5%  58.1%
母を尊敬する 54.8% 68.1%
父を尊敬する 59.7%  61.5%
母に叩かれた事ある 79.5%  48.6%
先生に叩かれた事ある 28.9%  1.6%
友人の数  50.7人 77.3人
興味あることは自分で検索  38.8%  63.3%

参考資料:小中学生対象の調査(博報堂総合研究所)