vol.50 先進諸国においてのナショナリズムの台頭を感じる…

2017/03/13

少林寺拳法創始70周年の今年、ちょうど4年に一度の世界大会の年となります。今回はアメリカのカリフォルニア州サンマテオで開催されます。

前回は創始国日本の大阪でしたから、久々の国外開催となり各国の拳士がその準備に入った矢先、アメリカのトランプ大統領がイスラム過激派の入国を阻止するためとして、難民・イスラム教7ヶ国(イラク・シリア・イラン・スーダン・リビア・ソマリア・イエメン)の入国禁止大統領令にサインをしたことがニュースとなりました。

この7ヶ国には少林寺拳法は普及していませんが、世界大会参加に関する問い合わせの中で思わぬ情報が飛び込んで来たのです。

それは、7ヶ国以外でもムハンマド・モハメッドなどイスラムを思わせる名前は弾かれビザが下りないというのです。出場資格があってもアメリカ入国が危ぶまれるという状況が出て来ました。せっかくの世界大会です。少林寺拳法世界連合では出来るだけ多くの拳士が出場できるよう、努力を重ねている最中です。

ここでもう一つ気になることは、「テロ対策」という言葉が使われることによって、何となく仕方ないという雰囲気が出来てしまう日本の風土です。

かつて廃案になった共謀罪の趣旨を盛り込んだ「組織的犯罪処罰法改正案」が、もしかすると3月10日に閣議決定するかも知れません。

9.11以降の世界各国でのテロ、そして現在は北朝鮮の脅威と、”さもありなん”という雰囲気の元に、先進諸国においてのナショナリズムの台頭を感じる昨今です。

日本では、ここ一週間ほどメディアを賑わせ、国会でも紛糾している森友学園問題。国有地の取得に関わる問題もさることながら、運動会の宣誓で「韓国と中国は間違った歴史を教えないで」とか、「尖閣・竹島・北方領土を守る」とか、挙句に「安保法案、国会審議通って良かった!安倍首相頑張れ!安倍首相頑張れ!」と幼稚園児に連呼させるなど、少なくとも敗戦の教訓が語られていた戦後30年間ほどでは考えられないことが日本でも始まっています。

森友学園の籠池氏だけの「特殊」な問題として、片付けられないよう注意したいと思う昨今です。