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Vol.127 不撓不屈の誓いと創始の日

2025/10/01

osawa

合掌
 10月に入りました。澄み渡る秋空に心地よさを感じる季節となりました。今月は、私たちにとって大切な二つの日があります。一つは10月5日の達磨大師の命日にちなむ「達磨祭」、もう一つは10月25日の「少林寺拳法創始の日」です。
 達磨大師は、釈尊の正しい教えを伝えるために数々の困難を乗り越え、中国へ渡られました。その不撓不屈の精神は「七転び八起き」と言い表されます。戦後の混乱期、開祖がどうやって人としての道を説くか悩んでいた頃、夢に達磨が現れ、開祖はそれを啓示と受けとり、少林寺拳法を創始する際の大きな指針ともなりました。私たちが道場で修行を続けることも、この精神を日常に生かす実践の一つです。途中で諦めず、何事にもやり遂げようとする心こそが、自分自身の可能性を開花させ、周囲をも勇気づける力となります。
 また、10月25日は少林寺拳法創始の日です。開祖は「人づくりによる国づくり」を志し、達磨大師の教えを拠り所として、拳技を人づくりの行へと組み立て直しました。そこには「自分の人生を切り開くのは、自分自身」という確信があり、武道的な要素と宗教的な要素を併せ持つ、世界に類を見ない組織の誕生へとつながりました。私たちもこの日にあたり、開祖の志を改めて胸に刻みたいと思います。
 修行の歩みは、決して派手なものではなく、小さな積み重ねの連続です。時に停滞や迷いもありますが、振り返れば「よくここまで続けられた」と自らを励ます力となり、それは周囲からの信頼へとつながります。長く続けることの価値を信じ、細くとも途切れることなく修行を重ねていきましょう。
 この10月を、達磨大師の遺徳と少林寺拳法の創始にかけた開祖の想いを振り返り、自らの可能性を信じて歩みを新たにする月といたしましょう。どうぞ健康にご留意いただき、日々の修練に励んでいきましょう。
合掌再拝