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Vol.128 仲間とともに灯を掲げる

2025/11/01

osawa

合掌
 11月にはいりました。先月、本山では達磨祭が盛大に執り行われました。今年は「千本突チャレンジ」と題し、師家を先頭に、全国から集まった拳士たちが一丸となって挑みました。会場に響く気合と太鼓の音、そこに生まれた一体感は、まさに「人が集う力」「仲間の力」を実感させるものでした。
 また、東京別院で行われた中堅道院長“鍛錬”特別合宿も熱気にあふれ、多くの参加者が仲間の熱意に刺激を受け、地元に帰って今以上にがんばってやっていこうという思いを胸に帰路につきました。ともに汗を流し、語り合い、互いを高め合う姿に、人づくりの原点を見る思いがいたしました。
 金剛禅の修行は、単に技や知識を身につけることが目的ではありません。人をよい方向へ変え、そして共に幸せを築くための手段です。釈尊の教えをよりどころに、達磨大師の修行法によって身心を鍛える。それは「人間完成」を目指す道であり、人と人との信頼の中でこそ深められる修行です。
 この10月の行事を通じて改めて感じたのは、「人は一人では幸せになれない」ということです。仲間がいてこそ、自分の心が照らされ、行動にも灯がともります。互いに励まし合い、信頼し合う関係こそ、金剛禅が大切にしてきた「人づくりの根幹」です。
 時代に目を向ければ、先月、日本では高市早苗氏が初の女性首相として就任し、新しい時代の幕が開かれました。女性が社会のリーダーとして力を発揮することは、まさに「多様な人が共に支え合う社会」を象徴する出来事です。本教団でも、多くの女性道院長が各地で活躍しています。これからも、性別や立場を超えて、一人ひとりが自信を持ち、仲間とともに道を切り拓いていけるよう期待しています。
 人は仲間に支えられ、また仲間を支えることで成長します。修行も人生も、その繰り返しです。冬の訪れとともに寒さが増していきますが、どうか心の灯を絶やすことなく、仲間とともに前を向いて歩みを進めていきましょう。残る二か月が、皆さまにとって実り多い修行の時期となりますように。
合掌再拝