vol.11 森羅万象・開花結実・・・梅香のような品格ある技法と教法をめざし
2016/02/01

合掌
2月となりました。もう少しすると梅花が南から順に開花していきます。紅梅、白梅それぞれが控えめな花を咲かせ、かぐわしい香りは人々を癒してくれます。桜花のように華やかさはなく謙虚な印象があるかもしれませんが、その姿は慎ましくも整っており、見えてなくても香りがその存在を教えてくれます。競技スポーツやテレビ放映される武道が賑やかな桜花なら、少林寺拳法、金剛禅の教えと技法は梅花であり梅香でもあるといえます。
さて梅の実は自家不結実性(自分の花の花粉を雌しべに付けても実がならない)の強い品種が一般的だそうです。つまり他の木の花粉を受粉しないといけませんから、受粉は自力ではなく他力(風や虫を媒体にする)が必要となります。皆様の周りを見渡しても同様な状況が多いのではないでしょうか。自分しかない生き方(自己中心的な生き方)、自分の無い生き方(自主性のない生き方)をしていれば、いつになっても思うような人生の幸福感を味わうことは期待できません。つまり幸せや喜びは訪れないという事です。
以下の様な行動を心がけていると、思いの実を結び、思い描くような人生が訪れるのではないかと思います。
・梅花が自ら花を咲かせるように、自ら行動する
・他の木の花粉を頂くように、周囲の人から良い影響を受ける(さらに感謝する)
・自分の花粉を他の木に差し出すように、周囲の人に手を差しのべる
・風や虫が協力してくれるように、周囲の人と協力する
・一生懸命日光を浴び栄養を蓄えるように、修業に励み精進する
梅花にとっての受粉は私達にとって気付きであり一瞬の思いです。その瞬間を捕まえる事(感じる、気付く)こそ梅の実が熟すように人生を結実に向かわせるのです。
梅の花ことばは、上品、高潔です。寒風の中、芳香を漂わせながら花を開かせる姿を見習い、人として品格を保ち、潔い生き方を目指して精進することは、金剛禅開祖の「人づくりによる国づくり」「平和で豊かな社会づくり(理想境建設)」を実現するという志を開花させることにつながります。
地域の皆様にご理解とご支援を賜りながら人づくりの運動が広まってゆく事が願いであります。忙しくなる年度末まで少々時間もあります。本山をはじめ全国各地の道院へどうぞお気軽にお立ち寄りくださいますようお願いします。
合掌再拝