vol.48 久留米東道院 道院長 林 大助

2016/09/02

君たちは指導者となるために学びに来ている
久留米東道院 道院長 林大助

 川崎医科大学卒。1993年久留米大学病院眼科入局。その後久留米大学病院麻酔科、壱岐公立病院眼科医長、出田眼科病院勤務を経て2002年林眼科医院 院長となる。
 小学校から高校までは剣道を修行し、大学時代は日本拳法部、ラグビー部を兼部。2005年久留米道院に入門。2012年に久留米東道院を設立。

久留米東道院 道院長 林大助

―――道院長になろうと思ったきっかけは何でしょうか。
 少林寺拳法の技と金剛禅の教えを深めたい一心で、少拳士二段允可後に武道専門コース福岡地区(武専)に入学しました。はじめは学科で習ったことを家族に話をしたり、実技で覚えた技を道院で皆と再確認したりすることを楽しみとしていました。
 道院内では道院長の、武専の中では派遣教員及び地元講師の先生やたくさんの道院長の素晴らしい技や厳しくも温かい姿勢にふれることで、「自分もあんな風になりたい。」と道院長という存在に大きな憧れを持つようになりました。
 特に武専のある講義で、派遣教員の先生が仰った「君たちは指導者となるためにここに学びにきているんだ。将来はぜひ道院を持って指導して欲しい。」との言葉が胸に残っていました。そして、正拳士四段の特別昇格考試の受験がせまった頃に当時の所属長である久留米道院西原良輝道院長に「もし四段とれて場所が確保できるなら一人でやってみらんね。」とのお言葉をいただき、加えて同時期に武専でよく指導していただいていた近隣小教区の大牟田東道院下河典昭道院長に「林さんが道院設立するなら孫を任せたい。」と言っていただいたことで一気に火が点いたのがきっかけとなりました。
 専有道場で入門、修練し、また小学校から高校時代、少林寺拳法を始める直前までの数年間は、久留米市内の小さな由緒ある剣道場(武揚館道場)に通っていたことが専有道場での新設にこだわった理由です。
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―――道院での指導方針や、指導法としての工夫を教えてください。
 最近やっと一般の入門が増えてきましたが、ほとんど少年部の指導が中心でしたので、『礼節・節度を守った上で元気よく、のびのびと、きびきびと修練する』『道院内で終了せず、家庭に持ち帰れるなにかを伝える』ことを念頭においています。
 鎮魂行の前、整列時に必ず一人一人と会話をかわすことで修練以外での触れ合いも大切にしています。話題によっては、皆が意見を出し合い、話し合いになったり、拳士が前に出て発表の場になるなど、人の話の聞き方や人への伝え方のトレーニングになっているようです。
 技術面ではまず少林寺拳法というより基本的な身体の使い方、動かし方をボールや棒を使い学べるようにしております。私もそうでしたが基本よりも法形の修練が楽しいです。しかし基本的な動きが出来なければ技に繋がらない、基本がしっかり出来ていれば将来必ず伸びてくるとの体験から、少林寺拳法の技術指導としては基本を重視しております。
 技の一つ一つでも攻者の攻撃の意味や守者の動きの意味を理解できるよう考えさせ動けるように指導しています。
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―――道院長になって出会った感動のエピソードをお聞かせください。
 私が3級になった頃に、幹部以上が参加する講習会後の懇親会の場で西原道院長から当時少林寺拳法連盟の会長であった新井庸弘先生に引き合わせていただきました。その時、「今は3級ですか。しっかり頑張って続けて、立派な指導者になってください。」と言って頂きましたが、会長職を辞される直前の福岡での講習会の場で、「10年経ち、道院を立ち上げさせていただきました、ありがとうございました。」と報告出来たときは大変感激いたしました。
 中拳士三段になった頃から、道院長とともに帰山を重ねるようになりましたが、道院新設後はじめての本山での達磨祭に、道院の小学生拳士2人を連れて山門をくぐったときは感激とともに、「今からもっと頑張らねば。」と熱く思いました。
 また道院のちびっ子拳士に、「少林寺拳法も好き、先生も好き」とさらっと言われたのはびっくりを通り越し感激でした。
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―――道院長として、今後挑戦したいことや夢などを語ってください。
 私が西原道院長に憧れ少林寺拳法を続け、道院を新設させていただいたように、 久留米東道院で修練を重ねた拳士が、私をみてずっと少林寺拳法を続け、指導者を目指してくれるような、そういう魅力のある道院長になりたいです。
 また、私自身演武経験が少ないため、成長した拳士とともに組演武を大会に 限らず色々な場所でやってみたいと思っています。
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―――最後に、将来、道院長を目指す全国の拳士へ、ひと言エールをお願いします。
 私は入門から道院開設まで8年です。よく「早いね」と言われましたが、タイミングとして一番良かったと思うのは、現役の武道専門コース(武専)の学生だったことです。私はゼロからの新設道院で幹部は不在、入門者が小学生の未経験者ばかりであり、指導がメインになり、またなかなか出稽古に行けない状況です。
 しかし、武専では学生であるため、
⑴自己研鑽の場として思い切り自分の練習ができる
⑵他道院の多くの幹部の先生と意見交換など広く交流できる
⑶指導法や修練方法の新しい発見があるという自己修練や指導に関する利点に加え
⑷県教区・県連盟役員を含む県内の諸先輩道院長から指導がいただき易い
⑸新設したことを認知してもらい易い(道院名や顔)
といった道院運営上大切な利点があります。道院新設を考えている方、ぜひ武専在学中の開設をお勧めします。