vol.51 大村三城道院 道院長 才津 行弘

2017/03/01

自分の人生をどう生きるか、これが人生の課題
大村三城道院 道院長 才津行弘

1991年東京農工大学少林寺拳法部に入部。就職を機に長崎へ帰郷し、大村西道院(坂口勝浩道院長、武専派遣教師ほか)に在籍。大村三城道院で副道院長を務め、設立から10年目の2012年に道院長交代し、大村三城道院長となる。翌年専有道場が完成。
仕事においては公務員獣医師として動物愛護や食品衛生に携わる。妻(休眠中)と2男2女(4人のうち2人が拳士)の6人家族。夢は約5年後の家族団体演武。

大村三城道院 道院長 才津行弘

―――道院長になろうと思ったきっかけは何でしょうか。
前道院長からの交代のお声掛けが最大のきっかけです。学生時代には故中島洸八王子道院長(現、八王子富士森道院)をはじめ、いろんな先生方の姿を見てきました。一拳士として年数を重ねるうちに、周囲から慕われ、笑顔の絶えない心地よい人間関係を築いておられる道院長達を拝見するうちに、「私もそんな家族みたいな道院をつくりたい」という感覚が自然と湧き上がってきました。

―――道院での指導方針や、指導法としての工夫を教えてください。
金剛禅の主行は易筋行ですが、その根本は人づくりの行ですので、常々、その教えを繰り返し伝えていくことが必要だと思っています。日々の生活の中で感じたことなどを題材に法話の充実を図っています。そのためか子どもたちは法話が大好きですね。専有道場を建ててから、季節や周囲の状況を気にせず取り組めることは大きなメリットです。
修練は、単調にならないよう気を遣ってます。子どもの頃はいろんな運動を体験すべきとの観点から、手押し相撲や背中合わせからの立ち上がり、逆立ち、後廻蹴、学生時代に行っていた各種のトレーニングなど楽しみながら行っています。

―――道院長になって出会った感動のエピソードをお聞かせください。
やはり子どもたちの変化が見られたときが嬉しいですね。
いじめられていた子が自信をつけて堂々として来たり、修練日が楽しみで仕方がない子。「将来、道院長になろうかなと呟いていた」「性格が明るくなった」などと保護者から聞いたときは大変嬉しかったです。

―――金剛禅の教えをどのように社会に役立てていますか。
道場正面には「自己確立」と「自他共楽」の題字(手づくり)を掲示しており、日頃から人のためになることを具体的な行動に移すよう指導しています。率先垂範で、私自身、毎日犬の散歩をしながらゴミ拾いをしています。「犬の散歩」というきっかけにより毎日のゴミ拾いが習慣化できました。「積徳、陰徳」と話して聞かせています。
また、3年前から小学校のPTA会長も務めています。よりよい活動を目指して組織を大改革しました。そう簡単にはうまく行きませんが、子どもたちや保護者の前で話したり書き物をしたりするときにも金剛禅の教えが基本となっており、これらの活動を通すことで拳士数拡大の一助ともなっています。
 たとえ少林寺拳法から離れてもいろんな場面において、道場で学んだことを思い出し、苦難を乗り越えられたり、勇気づけられたり、生きる指針になってくれたらと思いながら指導にあたっています。
 週3日の修練に武道専門コース、県教区の会合やPTA関連の会合など家を空けることが多く、その間、4人の子どもの世話を妻1人で見てくれています。また、専有道場を建てられたのも妻の理解があってのことです。勤めに出る妻との協働として、調理以外の家事はほとんど毎日こなすようにしています。

―――最後に将来道院長を目指す全国の拳士へ、ひと言エールをお願いします。
 自分の人生をどう生きるか、これが人生の課題です。人間学実践の最前線が道場であるならば、道院長という立場に立ってみませんか。そこに身を置くことで初めて味わえる醍醐味や、やりがいが実感できます。立場とやる気は行動を変え、人を変えます。自分をより良く変えるためにもそのやる気を傾けてみませんか。是非一緒に歩んでまいりましょう。