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Vol.108 道院での修行を実生活に活かし共楽へ

2024/03/01

osawa

合 掌
 3月に入りました。
 先月は本山教師研修会、教区講師講習会が行われ、各地の公認講習会で講師を務める指導員の先生方が本山で研鑽に励む等、次年度の教化育成の準備が着々と進んでおります。今月は新たな年度に向けた準備の月となります。
 進学や就職、転勤、引っ越しなどで環境が変わる方もいるかと思います。どれだけ環境が変わろうとも、私たち門信徒は自分を見失わず、自分自身を拠り所としながらも他者を幸せにしていく、自己確立・自他共楽の道を歩んでいくことに変わりはありません。それは道衣を着ていても着ていなくてもです。
 それは私たちの修行が道院の中だけでなく、実生活も含めたすべてが修行になっており、人としての生き方の基盤となるからです。今の時代に技法を実生活で用いることはほとんどありませんが、特に人と人との関りについては、道院でも学びながら実生活で実践していくものです。修練においては、いつも同じ人と組めるわけではありません。年代や性別、関節の柔らかさや体格、体力も違えば、習熟度合や考え方まで異なる等、色んな人が集まって修練をしています。多種多様な人たちが、同じ時間を共有し、互いに一人の人間として尊重し合い、真剣に向き合います。そして体を通して学んだ人との関り方を、実生活の中で活かし、検証を重ね、うまくいかなかった時には再度修行によって変えていくことができます。その繰り返しが私たちを成長させるとともに、調和の取れた良い人間関係を広げていくことになります。
 ロシアによるウクライナ侵攻から2年、能登半島地震の発生から2か月が経ちました。物心共に平和で豊かな社会の到来には程遠いのかもしれませんが、決してあきらめてはいけません。開祖が人間同士の拝みあい援け合いにより必ず到達できると信じたように、その志を継ぐ私たちもそれを信じて自他共楽の理想境へと進んでいきましょう。今月も共に、金剛禅運動に邁進していきましょう。
合掌再拝