Vol.126 日々の備えと自他共楽

2025/09/01

osawa

合掌
 9月1日は防災の日です。各地で震災や火災、豪雨災害、水防訓練などが行われ、過去の災害を振り返り、将来に備える取り組みが続けられています。私たちもまた、日々の暮らしの中で命を守る意識を持ち続けなければなりません。
 少林寺拳法の修行は、単なる護身術や格闘の技術ではなく、拳禅一如の精神、力愛不二の教えに基づき、慈悲心と勇気、正義感と行動力を養うものです。思いを行動に移し、自らの命を護るとともに、他者を助け、協力し合う心を育てます。人に勝つことを目的とせず、互いを高め合い、その成果を他の役に立てられることこそ、修行の価値であり私たちの誇りでもあります。
 「半ばは自己の幸せを、半ばは他人の幸せを」という理念は、生きるすべての営みに通じています。道院活動の一環として行われる救命講習や災害支援も、この理念に基づいた実践の一つです。
 いざという時に冷静な判断や咄嗟の行動をとるためには、確かな「勘」が必要です。修練を漫然と重ねるだけでは勘を研ぎ澄ますことはできません。他者との関わりや自然との向き合いの中で、技法に込められた教えを体得することによって、物事の先を読み、とっさに判断する力が養われます。日頃の修行で培った力は、有事の際に冷静に行動できる自分をつくり、災害や事故において自他を守る備えとなります。
 このように少林寺拳法では人格を磨きながら、将来への備えをすることができます。過去の経験を糧とし、自他共楽の精神をもって共に幸せを築いてまいりましょう。
 秋とはいえ、まだ暑さが続きます。道院長をはじめ門信徒の皆様におかれましては、どうぞご自愛のうえ、日々の修練に励んでいただきますよう願っております。
合掌再拝