Vol.139 便利な時代だからこそ、行動することが大事
2026/10/01
合掌
10月になりました。澄み渡る秋空に心地よさを感じる季節となりました。今月は、5日の達磨大師の命日にちなむ「達磨祭」、そして25日の「少林寺拳法創始の日」があります。私たちにとって、自らの修行の原点を振り返り、これからの歩みを考える大切な月です。
達磨大師は、釈尊の正しい教えを伝えるため、数々の困難を乗り越えて中国へ渡られたと伝えられています。また、戦後間もない頃に少林寺拳法を創始した開祖も、今のように交通や通信が発達していない時代に、人と出会い、言葉を尽くし、一人ひとりに志を伝えながら、「人づくりによる国づくり」の運動を広げていきました。
当時は、何かをやり遂げようとしても、今ほど便利なものはありませんでした。遠くへ行くにも長い時間がかかり、必要な情報を得ることも容易ではありません。それでも先人たちは、不便さを乗り越え、時間と労力をかけながら修行の場へ通い、志を持ち続けました。そこには、技術や知識だけではなく、途中で諦めずにやり遂げようとする強い心が養われていたのだと思います。
それに比べて今は、交通機関が発達し、遠く離れた場所にも短時間で行けるようになりました。インターネットを通じて多くの情報を得ることができ、AIをはじめとする新しい技術も、学びや仕事を助けてくれます。昔であれば大変な時間と労力を必要としたことも、今ではずっと身近になりました。
だからこそ、私たちに問われているのは、それらをどう生かし、実際に行動するかということではないでしょうか。便利になったことで生まれた時間を何に使うのか、得た情報や知識を自分の成長や周囲の人のためにどう役立てるのか。環境が整っているだけでは、何も変わりません。自ら一歩を踏み出して初めて、自分の可能性も、周囲の状況も変わっていきます。
少林寺拳法の修行も、技ができるようになることだけが目的ではありません。何のために修行するのか、少林寺拳法によって自分の人生をどのように豊かにするのか、そして身につけた力を周囲や社会のためにどう役立てるのかを考え、実践していくことが大切です。困っている人に気づき、声をかけることにも勇気がいります。周囲に目を配り、その場で自分にできることを考えて行動する力も、日々の修行の中で磨いていきたいものです。
朝夕は少しずつ秋らしくなってまいりましたが、季節の変わり目でもあります。どうぞ体調には十分ご留意いただき、ご自愛のうえ、今月も日々の修練に励んでまいりましょう。
合掌再拝

