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vol.40 生き方の指針、金剛禅教典の実践

2018/07/01

osawa

合 掌
 7月になり日差しが日増しに夏らしくなってまいりました。皆様におかれましては、ご健勝でご活躍のこととお喜び申し上げます。
 瀬戸内海を見渡すと、昼は青く輝く水面に緑豊かな島々が連なり、夕には赤く染まった水面を滑る様に船舶が行き交います。刻一刻と姿を変える悠々とした眺めは、大いなる力の働きを気づかせてくれ、ただただ感謝するばかりです。
 さて、最近のニュースにおいては、連日ハラスメント問題や各界の不祥事、人の命を奪うという痛ましい事件が報道され、心痛に耐えません。私たち金剛禅は、このような事件が繰り返されない世の中が来ることを願うとともに、「半ばは自己の幸せを 半ばは他人の幸せを」の信念を基に行動する金剛禅運動を前進させ、社会の中で影響力を発揮できる人づくりが正に必要とされております。
 金剛禅運動を前進させ、行動するとはどういうことでしょう。
 まず、私たち一人ひとりが生かされているという事を自覚し感謝することです。自然、社会、地域や家族との関わりの中で自分の命は育まれています。人間同士の関わりの中で感謝しあい、協力しあい、尊敬しあえていることが、安心して暮らせる社会を創っていくのだと思います。
 次に、他人(ひと)の幸福を考えた行動をするということです。自分の幸福だけを満たそうとする行動では、本当の幸福は手に入りません。皆が幸福になるから自分も幸福になる。つまり皆の幸せを願った行動が、巡り巡って自分を幸福にする。これこそ釈尊の説いた「縁起の理法」であり、それを今に生きる私たちが活かすということです。
 更に具体的な行動は、教典に書かれていることを実践するということです。命を大切にし、両親に報恩の誠を尽くし、兄弟親族皆を愛し、郷土を愛して生きる。人間同士が相親しみ、相援け、相譲り、協力して平和で豊かな社会を作り上げ、「生まれてよかった、素晴らしい人生だ!」といえる社会を目指し実現することです。
 少林寺拳法の修行を通して体を鍛え、金剛禅の教えで心の器を大きく育て、不撓不屈・不惜身命の精神を養い、肉体と精神の調和による人(霊止)としての成長を目指してゆきましょう。私たち一人ひとりが慈悲心や正義感を持ち、勇気と行動力のある人間を目指すことによって、自分の存在が自然に周囲に影響を与えてゆくのです。
 末筆になりましたが、このページを見て頂いた皆様に感謝いたします。
 今日も金剛禅教典を実践して、素晴らしい一日が訪れますように。
再拝合掌