vol.42 我以外皆我師也

2018/09/01

osawa

合 掌
 吹く風に少しずつ秋の気配が感じられる季節となりましたが、皆様にはご健勝でお過ごしのこととお喜び申し上げます。
 さて、西日本豪雨災害の復旧が続く中、9月1日の防災の日をむかえました。地域の防災を考え、備える大切な日です。災害の被害に遭った方も、遭わなかった方も、日頃から十分な備えと、訓練をしておくことが望まれます。
 先月も愛媛県の被災地に参りました。ご高齢の夫婦のお住まいで、庭や床上まで押し寄せたゴミや土砂を取り除きました。また集合住宅の床下に流れ込んだ泥を取り除く作業も行いました。綺麗になったところを見た住民の方々の喜びの笑顔を見ると、吹き出す汗も疲れも忘れ爽やかな気持ちになりました。
 今回も多くの方が駆けつけており「少しでも力になりたい」というボランティアや義援・支援者の思いは確実に復旧への力になっていると感じます。
 私事ですが、30年以上前に消防団員として微力ながら活動していた時のことが思いおこされます。水害で床上浸水したときのことです。逃げ遅れた方がいないか一軒一軒声をかけて廻り、窓から手を振る住人の方を見つけた時、不安な顔から笑顔に変わる瞬間のことや、無事避難した時の「ありがとう」の言葉、そして中学校での防火服を着込んで消防操法演習したとき、猛暑の中一生懸命取り組んだところ、後にその時の生徒が消防職員になったと聞いたとき、団員皆でやって良かったなぁと喜んだこと。
 西日本豪雨災害のボランティアの中にも、30年前の消防団の経験の中にも同じく言えることがあります。被災し不安で困難な状況に直面する人がいても、必ず「何とかしてあげたい」と思い行動に移す人がいます。そうして自分の行動が他の誰かを笑顔にする幸福を知り、さらに行動を続けます。被災した人たちも、悲しみや、苦しみをいつかは乗り越え、真に強く、優しくなります。そして次は手を差し伸べる側になります。このような善意は伝播し、次の善意を生んでいきます。人は慈悲心を持っています。その慈悲心を賢く使うことで、その一人の慈悲心が勇気となり周りの人に伝わり、更に伝わる事で大きな力になり大きな行動力となって行きます。
 本当に皆様に感謝です。自分以外、皆師であると再確認させていただきました。相手から善悪どちらを受けても学べる人間になる。我を見つめ、皆から学び、自己の可能性の種子に大きなエネルギーを降り注ぐことは、己を成長させる最も大切な事。そのような気持ちを持った人々が増えることで、地域に安心を与え、更に行動できる人が増え、地域環境が充実し、平和で豊かな社会が出来るだと思います。我以外は皆師也の気持ちで人を見て社会を見て行動することを心がけたいものです。
合掌再拝