Vol.66 日々の修行が私達の「備え」
2020/09/01
合掌
今年の夏は、命に係わる危険な暑さから身を守りながら、新型コロナウィルスの感染を防ぐために帰省や旅行を控えるなど、例年とは違う過ごし方をされた方も多いのではないでしょうか。それでも少しずつ季節は移ろっていきますので、新しい季節に向け、私達も心と体を順応させていきましょう。
さて、9月1日は防災の日です。ここ数年で、震災や豪雨など甚大な被害をもたらす災害は「忘れたころにやってくる」のではなく、「忘れる間もなくやってくる」ものに変化しており、常日頃からの備えが必要になっています。宗昂馬師家は月刊誌『致知』9月号の「私の座右の銘」のインタビューで「備えあれば患いなし」と説かれています。私達、金剛禅門信徒にとっての「備え」は日々の修行にあるといっても過言ではありません。内修により判断力、胆力、平常心といった精神力を、外修により免疫力、体力、行動力を養い、いざというとき、いつでもそれらが使える状態に整えておきます。
何かあったときに、人に言われて動くのではなく、自分にできることを探し、自分から動くことが大事です。もちろん一人一人の力には限りがあります。しかし、それぞれが持つ知恵と力を結集することにより人は街や社会を作り、文明を築き、世の中を発展させてきました。おそらく開祖は、戦時中の体験から、人間一人の力には限界があることを知っていたからこそ、日頃から人と協力し連帯しあえる生き方を説かれていたのでしょう。そのことを私達は鎮魂行、特に信条の4つの項目で唱え、皆で誓い合っています。
現在、地域によっては道院に集まることができないところもあると思います。人と人との触れ合い、温かみは言うまでもなく、そもそもの人との交流がストップしてしまえば、私達の結集する力もなくなってしまいます。門信徒同士のつながりを保つ工夫、集まることができる場合には安心して修練できる環境づくりをしながら、どうにか道院活動を継続していただきたいと思います。私達の運動の源は人であり、皆様一人一人にかかっています。
私達の教団も今後の社会を見据え、秋以降の本山行事はオンラインも活用しながら行うなど、新しいものを取り入れつつ、社会の変化と自然界の変化に対応していきたいと考えています。「理想境は、自分達でつくる」という強い気持ちをもって、今月も共に金剛禅運動に邁進していきましょう。
合掌再拝
信条
一、我等は、魂をダーマよりうけ、身体を父母よりうけたる事を感謝し、報恩の誠をつくさんことを期す。
一、我等は、愛民愛郷の精神に則り、世界の平和と福祉に貢献せんことを期す。
一、我等は、正義を愛し、人道を重んじ、礼儀を正し、平和を守る真の勇者たることを期す。
一、我等は、法を修め、身心を練磨し、同志相親しみ、相援け、相譲り、協力一致して理想境建設に邁進す。