Vol.69 節目節目で振り返る

2020/12/01

osawa

合掌
 師走に入り、今年も残すところあと僅かとなりました。
 2020年に入って間もなく新型コロナウィルスが日本にも拡大、終息する間もなく第3波、気づけばあっという間だったという方も少なくないのではないでしょうか。誰もが平等に与えられている時間ですが、どのように過ごそうとも毎年、必ず年の瀬が訪れ、私達にこの一年の総括を促します。
 大変な一年だったと言えるかもしれませんが、開祖が少林寺拳法を始められた時代は、新型コロナウィルスの比ではないぐらい、世の中は不安定で先が見えなかったのではないでしょうか。将来に希望を持てない青少年達、迷信や先祖祀りを主とする宗教、勝ち負けに執着する武道、物資の不足、戦後の荒廃。ありとあらゆる状況が開祖の目に飛び込んできたと思います。そんな時代においても、開祖はその対極にある未来を目指して、縁起の法則に従って行動され、自己確立・自他共楽の道を私達に遺してくれました。開祖の教えを受け継いでいる私たちは、必ず自分達の力でコロナ禍の出口を見つけられると信じています。
 また、今年は人と人が直接会うということへの感謝と喜びを強く感じた年でもありました。通信技術を活用すればオンラインでつながることもできますが、対面した時に目から入る表情や雰囲気、耳から入る声の響き、肌を通して伝わる温もり、やはり人というのは、どれだけテクノロジーが発達しようと身体と心を切り離すことのできない存在なのだと改めて実感いたします。だからこそ、私達の修練は相対演練を基本として、そこから人と人との関わりを学ぶことができるのだと思います。
 私たちの命には限りがあります。コロナでの経験を通じ、人と直接会う時間はこれまで以上に貴重になったと思います。魂をダーマより受け、身体を父母より受けたる限りある命、与えられた時間を有意義に使いたいものです。そのためにも節目節目で立ち止まり振り返ることで、これまで何となく過ぎていた時間を有意義なものに戻すことが必要なのだと思います。
 何かと慌ただしい月ではありますが、このような気持ちで過ごすことができれば大変だった一年も次の年を生きる糧へと変えることができます。どうか食生活や体調管理には十分に気を付け、インフルエンザやコロナへの感染を予防しながら、心新たに気持ちよく新年を迎えましょう。

合掌再拝