• 管長法話 >
  • Vol.89 受け継がれた命、次につないでいく命

Vol.89 受け継がれた命、次につないでいく命

2022/08/01

osawa

合掌
 8月に入りました。各家庭においてはお盆の時期にお墓参りをするところも多いかと思います。手を合わせるときには、ご先祖様への近況報告だけでなく、ぜひ自分へと命をつないでくれたことに思いを馳せていただきたいと思います。
 私たちの命は、父母から受け継いだものです。そして父母もその両親から命を受け継いでいます。ビッグバンで宇宙が誕生してから、悠久の時を経て地球ができ、地球に生命が誕生し、生物が進化を遂げながら、ダーマの働きによって、連綿と私たちに命が受け継がれています。そして私たちの命も、次の世代へと受け渡されていくものです。この命の働きを自覚することで、人が人らしく生きることができ、人間本来の使命を自覚して、世の中を良くするために命を全うしていくことができます。
 ところがこの命も、ひとたび戦争が起きてしまえば、その使命を全うさせることなく無残に散ってしまうことがあります。大規模災害や未知のウィルスも人間にとって脅威であり、一部で人災もありますが、戦争だけは間違いなくすべて人間が引き起こしているものです。命の奪い合いは憎しみを生むだけで得るもの何もなく、決して人々を幸福にすることはありません。与え合う生き方こそが人々を幸福にすることができます。
 自分に与えられた命をどうか大切に扱い、同じようにダーマの分霊を持つ周りの人の命も大切に扱いましょう。そしてその命を世の中の発展に役立てていきましょう。私たちは修練において信条を必ず唱えています。まずは信条の第一と第二を実践していきましょう。戦争が全くない世界になるのはかなり先のことかもしれません。それでも、一歩ずつでも前進していくことができるのが人間です。あきらめずに開祖が目指した理想境を実現すべく、今月も共に金剛禅運動に邁進していきましょう。
合掌再拝

信条
一、我等は、魂をダーマよりうけ、身体を父母よりうけたる事を感謝し、報恩の誠をつくさんことを期す。
一、我等は、愛民愛郷の精神に則り、世界の平和と福祉に貢献せんことを期す。
一、我等は、正義を愛し、人道を重んじ、礼儀を正し、平和を守る真の勇者たることを期す。
一、我等は、法を修め、身心を錬磨し、同志相親しみ、相援け、相譲り、協力一致して理想境建設に邁進す。