Vol.90 備えは日々の修練の中に

2022/09/01

osawa

合掌
 9月に入りました。日本は昔から自然災害が多く起きており、この時期には過去、大きな震災や台風、大雨による被害が起きています。近年はこれまであまり被害がなかった地域にも、突如として災害をもたらすなど、他人事ではなくなってきているのではないでしょうか。
 開祖は、戦時中の体験から、人が生きるか死ぬかの極限状態の時に、他人を犠牲にしてまで生にしがみつこうとする狂気の状態を目の当たりにしています。その逆に、自らを犠牲にしてでも他人を助けようと尊い行動をした、人間の霊性の発現も見ており、開祖はそこに可能性を見出しています。このような極限状態に陥らないよう、日頃から備えをするとともに、いざ極限状態にあっても他人と協力し合って生き抜いていくことができる力を養うことが必要です。
 私たちにとって備えとはなんでしょうか。それは日々の修練にあります。護身の技術は肉体を鍛え、平常心や胆力を養うだけでなく、有事における判断力も養います。落ち着いて物事を判断しながらも、いざという時にはとっさに動くことのできる心と体を作り上げてくれます。そして、その修練は決してストイックなものではありません。年齢や体力に関係なく、皆で楽しく学び合い、深め合うことのできるものなのです。修練で互いに守者と攻者の立場を入れ替えながら行う組手主体の修練は、人との関係性を深めてくれます。ここで学ぶ人間関係の構築が、有事における協力関係を築くときに役立つのです。
 とかくコロナにより、人と会わなくても物事が回るようになったと感じる方もいるかと思います。しかし、それが通用するのはあくまでも平穏な日常に限られるのではないでしょうか。大自然の前で、人間という存在はあまりに小さく、自然災害には無力です。だからこそ、人と関り、連帯し協力し合える人間関係を作り、乗り越えていくことが必要になります。皆さんは修練を通じてどのような備えをしていきますか。
 各地域において災害への備えを万全に整えながら、今月も共に、金剛禅運動に邁進していきましょう。
合掌再拝