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Vol.91 達磨祭と少林寺拳法創始の日

2022/10/01

osawa

合掌
 10月、年度ではいよいよ下半期に入りました。今月は、祖師達磨大師の命日とされる5日頃に、本山、各教区、全国の道院において、達磨祭(法要)が行われます。また25日は少林寺拳法創始の日となっています。
 開祖は、世の中に役立つ人を一人でも多く育てようと、少林寺拳法を創始され、組織化していきました。少林寺拳法は、自己を拠り所として、「半ばは自己の幸せを 半ばは他人の幸せを」を考えて行動できる人をつくるために、開祖は先達として仰がれた達磨大師が遺された易筋行を修行の中心とし、人づくりの手段としたのです。
 達磨大師と言えば、不撓不屈、七転び八起きの精神、起き上がり小法師のように何度倒れても立ち上がることで知られています。私たちが易筋行で行っているのは、一見不利に見える状況であっても、本来持っている力を引き出し、モノの見方や立ち位置を変え、有効に力を発揮することで、状況を変えていくことです。その積み重ねが、どんなことも乗り越えていく自信を築き上げてくれます。目の前に不安なことや挫けそうなことがあった場合、悩んでいるだけでは何一つ解決しません。どんな状況も常に変化しており、それが一生涯続くこともありません。私たち門信徒は、そこであきらめずに進めば暗闇を抜け出せるということを修行の中で学んでいます。
 その修行は決して道場の中だけのものでもなく、苦しいものでもありません。むしろ家庭や仕事、日常の人間関係にも役立ち、人としての生きる力を高めてくれるので、修行自体が楽しく継続できるものになっています。仲間と共に楽しみながら護身練胆、健康増進、精神修養の三徳を得ることができ、自分の成長に役立つだけでなく、周囲に喜びを与え、社会を元気にする力を持つ素晴らしいものです。
 今月は私たちが少林寺拳法と出会えたことに感謝の念を持つとともに、達磨大師の遺された修行法に一層精進することを約束する誓いの月として、共に金剛禅運動を展開していきましょう。
合掌再拝