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Vol.92 自然と調和しながら生き、社会を変えられる人に

2022/11/01

osawa

合掌
 11月になりました。空を見上げれば風と共に空気が澄みわたり、本山の隣にある桃陵公園の木々も赤みを帯び、あちらこちらに秋が色づいてきました。
 秋は収穫の秋と言われますが、収穫までにはたくさんの世話が必要になります。広い田畑を耕し、適切な時期を選んで種を蒔き、肥料を与え、光と水の作用が加わることで成長していきますが、その年の天候によっては順調にいかないこともあります。それでも、必ず実を結ぶと信じて続けていくことでようやく収穫を迎えます。
 同じ自然の営みの中で生きる私たちにも同じことが言えます。人が育つ土壌とはどのような環境か、そして人にとって栄養になるもの、成長を阻害するものは何か。それらを理解していれば、時に困難に遭遇することがあっても、開祖が「可能性の種子」と言われたように私たちは確実に成長していくことができます。
 自分自身の成長を実感できない方もいるかと思いますが、昨年、一昨年、さらにさかのぼって10年前と比べたとき、今の自分とどちらが人としての深さを持ち合わせているでしょうか。一朝一夕には変わりませんが、時間はかかっても確実に成長をしていくことができるのが人間です。
 過去の後悔や、未来への不安は誰しもあります。まずは足元を固め、しっかりと地面を踏みしめて、今、目の前にあることに一生懸命取り組んでいきましょう。自分が得をしたいからではなく、多くの人が幸福になる道を探していきましょう。さらに他の誰かがやるのを待つのでなく、まずは自分から、自分の身の回りから幸せを広げていきましょう。
 そのような人を一人でも多く育てようとしているのが金剛禅です。そして皆が同じ気持ちで前に進めば、世の中は必ず明るくなります。うまくいかない時には、金剛禅の教えと修練で培った胆力、同じ志を持つ仲間が助けになってくれます。ぜひ、社会を良い方向に変えられる人へと成長していってください。
 今月も共に、金剛禅運動に邁進していきましょう。
合掌再拝