第5回 「健康」とはなんだろう?

2019/03/29

●「健康」ってなんだろう。

これまでの上記のテーマを通して、健康ライフを考えてきた。第5回目「健康ライフのパスポート」では、原点ともなる「健康」がそもそもどういうものなのかを考えてみる。

まず皆さんに、考えて頂きたいと思う。
「あなたは今健康ですか?」
この問いどのように答えられだろうか。

「自分は健康だ。」「いや自分は健康ではないな。」「どちらとも言えない。」など、どういう基準で考えられるだろうか。

仮に、以下の状況設定で想像してほしい。
(幼少期)
・指を骨折してギブスを巻いている。でも外で友達と元気に走り回っている。
(10代)
・学校、部活も充実していて楽しいけど、一部の友達関係がギクシャクし、モヤモヤした気持ちを抱えている。
(20代)
・就活や仕事が思うようにいかず、社会や将来に対して大きな不安を抱え、引きこもりがち(体に異常はない)。
(30・40代)
・仕事は順調でも、毎晩帰宅が遅く、朝も早い。休日は、疲れているのでほぼ寝ている。
(育児中の男女)
・乳幼児期の育児が予想以上に大変。睡眠不足で、体調も精神も不安定な状態である。
(70・80代)
・怪我や病気で通院(入院)中だけど、回復後の旅行を目標に、先生や家族と賢明にリハビリしている。

体調・感情の状況を含め、同じ人でも、時々の年齢や状況によって感じ方も変わるだろう。「健康」という一言では、片付けられない多様な状態があるのでないだろうか。

●健康の定義

しかし、一方で「健康」に定義があるのは、ご存知だろうか。小学校の保健体育で習った記憶がある人もいるのではないだろうか。健康の概念は、1948年の設立における世界保健機関憲章の前文にある、以下の定義が有名である。

原文:Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
訳:「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない。」

このように、たんに病気や虚弱の有無ではなく、「肉体的・精神的・社会的」という3要素に基づいて良好な状態であることが大切であるということが述べられている。ということは、骨折していてギブスをはめていても健康な状態ともいえ、障がいの有無・病気や怪我の有無でないことがわかる。逆に、体に問題はなくても、不安や悩みのストレスで追い込まれている状態・孤独で人間関係が希薄な人は、健康な状態とはいえないかもしれない。生きる目的を持って、懸命に充実した生活を送る人を健康ではないと誰も言えないだろう。

●健康という価値観

「肉体的・精神的・社会的に完全に良好な状態」と聞いて、「何ソレ!?」と思った方もいるのではないだろうか。むしろ、すべてに満足がいく状態の人の方が少ないのではないだろうか。
健康の定義については、様々な角度から検証や見直しの意見も上がっているのが現状のようだ。

健康の定義のほかに、健康観という言葉も存在する。

健康観( health view)とは、健康に関する価値観・価値基準の事で、医学・福祉に従事する者は、健康を医科学的側面と価値観的側面の両立を成しえてこそ維持されるものと考え、その点で健康観的な研究、あるいは知識を身につける必要があるとされています。
また、健康観は、各個人が持つもので、個々の社会的属性・人的属性により異なり、変化するものであるとされています。社会的属性とは、会社、学校、地域、国、文化などであり、人的属性とは性別、年齢、身体状態などがあります。
参考出典「フリー百科事典『ウィキペディア(wikipedia)』

すなわち、健康とはひとつの価値観であり、個々の感性で自己判断すべきともいえるし、逆に非常に曖昧である。但し、最低の基準として重大な疾病等を見過ごしてしまうことがないように気をつけなければいけない。そのために上記にあるように医学福祉の専門家に事あるごとに相談することも肝要である。

●運動・食事・休養のバランス

具体的に、生活に落とし込んで考えてみると、運動・食事・休養によって、肉体的な充実、精神的な充実、社会的な充実を得る事ができるのではないだろうか。正しい運動は、体に、心に、社会とのつながりに、よい影響も与えられる。食事においても、栄養バランスを整え、家族や友達と楽しく食卓を囲めることは、充実をもたらす。そして、休養も、ただ休むのではなく、積極的な休養もあるだろう。温泉にいったり、映画や芸術を鑑賞したり、創作活動をしたり、そのリフレッシュ効果は、非常に大きいのではないだろうか。人間は、機械ではなく心の働きが非常に大きい存在で、社会性のある生き物である。機械ですら、適切なメンテナンスが必要であり、摩耗しないように、事前に対応することが必要なのと同じである。

●まとめ
運動・食事・休養のバランスをとりながら、自分らしい生き方を求めること考えるにあたって、
図が2つ登場したが、双方の中心にある健康を大きくするには、どんな手立てがあるのか。
ぜひ皆さんも生活を通して、考えてみてほしい。