vol.46 “見る”“聞く”“触れる”“感じる”機会づくりを

2016/09/05

戦後70年を境に、日本の8月は特別な月ではなくなったのでしょうか。

平和ボケと、笑っていられる時代は終わりました。戦争を知らない世代が、経験者から何を受け継ぎ、何を教訓としてこれからの未来をつくっていくのか、真剣に考えなければなりません。

東アジアの緊張が煽られ、”しかたない情勢” “必要だから” と流れが作られ、あれよあれよという間に特定秘密保護法、武器輸出三原則改め防衛装備移転三原則、集団的自衛権行使容認、そしていよいよ憲法改正へと動き出しています。

「日米同盟が大事」と強調される中、バイデン米副大統領が今年4月の訪中時に、北朝鮮を巡る問題で習近平国家主席に語った「日本は一夜にして核武装が可能だ」という脅し文句は、日本ではほんの小さな新聞記事以外、話題にもなりませんでした。そうして、迎えた71回目の原爆記念日の月、オバマ政権の進める「核の先制不使用」に安倍首相は反対の意向を表明したのです。世界唯一の被爆国の首相のこの信じ難い発言は、決して見過ごされるべきではありません。「人類はバカだ!」と後世に伝えたいのでしょうか。

しかし、恐ろしい驚くべきこの出来事が、世界各地ではニュースになりましたが、当事国である日本では、SMAP解散報道にかき消されました。なんと平和な日本……なんと恐ろしい日本……私は後者を取ります。

以前にもこの「メッセージ」でお伝えしましたが、今、日本中どこに行っても中国からの観光客があふれています。ピークは過ぎたともいわれていますが、昨年は年間500万人ほど日本を訪れています。どんな反日教育がされたとしても、実際に日本に来て、見て、触れて、好印象を持って帰る人たちが急増しています。それに反して、中国各地でたくさん見かけた日本人観光客は激減し、行ったこともないのに中国に対して悪印象を持つ若い層が増えてきました。

私たち少林寺拳法グループは、「日中の友好なくしてアジアの平和はなく、アジアの平和なくして世界の平和はない」という少林寺拳法創始者 宗道臣の考え方の下、もう40年以上にわたって日中間の相互理解と協力のために人材育成を目的とした交流活動を行って来ました。

先月末(8月23日〜8月29日)、全国で少林寺拳法を学ぶ高校生58名を伴い、北京・河南・上海を訪問してきました。現地の学校での交流活動や、ひとりずつのホームステイなど、参加者全員が初めての中国を体験しました。

違いや共通点、驚きや感動などさまざまな感想を持ったようですが、すべての参加者に共通していたのは、「百聞は一見にしかず。中国の悪いイメージしか発信されていない日本にいて、偏見を持っていた。いい意味でカルチャーショックを受けた。180度イメージが変わった」「中国の人は優しくて情が深い。日本の報道だけでこの国の人をひとまとめにするのはよ くない」「中国に限らず、他の国を一部の報道だけで決めつけてはいけないと思った。」「政治に翻弄されず、自分で確認できるよう自己確立したい」という頼もしい高校生たちでした。

考え方を誘導するのではなく、実際に”見る” “聞く” “触れる” “感じる” 機会を作ることが急務だと思います。

xiaopinguo

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stay

たった一日のホームステイが忘れられない思い出になる