Vol.02 一緒に楽しんでみませんか?

2012/07/08

「正義を伴わない力は暴力であり、力を伴わない正義は無力である」
これは、少林寺拳法創始者・宗道臣の遺(のこ)した言葉です。正義とは何か……と考えると、「正義」自体、現代人にとっては身近なものには感じられないかもしれません。これほど価値観の多様化する現代においては、「正義」を、社会道徳的な観点ではなく、極小化して身勝手な自分の都合レベルで捉える人までいます。そのため宗道臣は、「愛のない力は暴力であり、力を伴わない愛は無力である」とも言ったのです。
愛とは、他を思いやる心であり、何よりも自分を取り巻く家族を含む多くの人々を大切に思い差し向ける心です。そして力とは、思いやりを実践するための知恵と知識と経験をベースとした、自信と勇気と判断力・行動力なのです。どんなに格闘家として強くても、その力を人のために役立てることができて初めて価値があるということであり、またどんなに愛するものを守りたい、助けたいと思っても、自分に力がなかったらどうすることもできないのだから、社会を知り、知恵と知識の習得に努め、自信と勇気と行動力を養い、「人の役に立てる自分」「人に頼られる自分」を育てよう、というのが少林寺拳法です。
日本の将来や、自分の住む地域のことや、これからの日々の生活も、そこまで考えなくても何とかなるという時代は終わりました。戦後の日本の復興に全力を注ぎ、経済大国日本をつくり上げてきた方々の大半がこの世を去った今、物質的に恵まれ、「自分が」「自分の会社が」と目先だけ見てバブル期を過ごしてきたその後の世代は、30代以下の人たちから見ると、夢や希望を感じる魅力的な人物は少ないようです。
日本の将来について、人について、真剣さも本気度も足りなかったと、50代半ばを迎えた私自身が焦りを感じています。スポーツの一種として少林寺拳法が普及し、愛好者が増えたらそれでいい、というわけではありません。真剣に日本の将来を考えたり、本気で他人のことを考える、そして、ただ考えるだけではなく、そのために行動でき、頼れる魅力的な人となるために、一緒に楽しんでみませんか。