Vol.03 日本の将来を担う子どもたちのために……

2012/08/07

「いじめ」という言葉が使われるようになってから、どのくらいたったのでしょうか。ガキ大将が、弱い子どもに言うことを聞かせるために“小突いた”というような、一昔前の日常の光景とは明らかに異質なものです。幼いころから触れるテレビやゲームなどが、人間としての本当の痛みを感じることのないバーチャルな世界に慣れさせ、さまざまなトラブルや難しい人間関係から逃げる大人の生きざまと相まって、今の社会をつくってきたのではないでしょうか。
 大津で起こった、いじめによる自殺を巡る教育委員会や学校側の会見報道を見ても、もしも自分の子どもや孫だったらこんな態度で臨めないだろうし、こんな不用意な発言はできないだろうと率直に思います。目の前の大人たちは、もはや相談をしたい頼れる人ではなくなっているようです。
 「もしや」と思うことがあったら、最悪の状況をイメージして対処することが重要です。お節介といわれようが、一歩も二歩も勇気を持って踏み込んでいく、そのための感性を磨き、関わっていく勇気と行動力を我々大人は養いたいものです。そして、個人ではなく、人に対する思いやりのために、自分の持つ自信と勇気と行動力を役立てようとするグループ(仲間)で、今、動くべきときだと思います。
 少林寺拳法は、「愛のない力は暴力であり、力のない愛は無力である」と考えています。日本の将来を担う子どもたちのためにも、まずは大人から変わりませんか。そして、子どもたちにとっても、助け合える頼もしい仲間づくりができる少林寺拳法でありたいと思います。