Vol.10 夢に向かう自信と勇気を

2013/05/01

春は、卒業・入学のシーズンです。夢や希望を持つことが無意味だとさえ言う若者が多い昨今ですが、とても前向きに自分の変化を捉え、しっかりとした夢を持ち、具体的目標に向かって踏み出そうとする高校生もいます。

「この時代に私はどう生きるか」
「私にとっての平和とは」
「少林寺拳法が私に与えたもの」
「生徒にとって部活動の意義」
「高校少林寺拳法部の普及・発展について」
 これは、毎年3月に行われる「全国高等学校少林寺拳法選抜大会」の「弁論の部」のテーマです。
 武道の大会で弁論? と思われるかもしれませんが、少林寺拳法ならではの大切な大会項目なのです。
 どちらが早いか、すごいかといった他人との比較競争ではなく、自分の可能性を信じ努力することで「できるようになる」という自信を得、人の役に立つ人間になろうというのが少林寺拳法の目的ですから、技術競技だけではなく、少林寺拳法を通して自分の変化を感じ、自らの可能性と多くの助け合う仲間の存在を実感することで、夢に向かう自信と勇気が湧いてくるのです。
 毎年、審査員として参加しますが、一人ひとりの人生に少林寺拳法やそこで得た仲間との関係が大きく役立っているという弁論を聴く度に、もっと彼や彼女たちの人生に役に立つ少林寺拳法でありたいと、心が引き締まり、責任を感じます。
 少林寺拳法が、公益財団法人全国高等学校体育連盟(高体連)に加盟する前に、高校生大会の様子を参観に来られた高体連専務理事の方が、競技の合間にすれ違った女子高生に、「少林寺拳法のどういうところがいい?」と質問されたことがありました。するとその女子高生たちは、「本当の友達ができるところ」「ね!」「ね!」と二人で楽しそうに相づちを打っていました。質問した専務理事さんにとっては、想定外の答えだったのでしょうか、一瞬言葉が止まり、次の瞬間「へ~」と声を上げられたのが印象的でした。
 ちょうど今、オリンピック招致に向けていろいろな動きがありますが、国威発揚や経済効果という政治的要素とは別に、純粋にスポーツに情熱を持って取り組む人々がたくさんいます。しかし、金メダルに夢を持ち目標を定められるのは、ほんの一握りの人たちです。
 私たち少林寺拳法は、メジャーではないかもしれませんが、多くの「まだ自分の可能性を感じられない」「自信がない」という人たちのために役に立ちたいと考えています。