Vol.17 人生を豊かにする人間関係は、すてきな宝物

2013/12/01

パワーハラスメント(パワハラ)、セクシャルハラスメント(セクハラ)という言葉が当たり前のように言われるようになって、どのくらいたったでしょうか。
職場でのパワハラやセクハラで不愉快な思いをしたり、精神的に追い詰められて深刻な鬱(うつ)や引きこもり状態にある人はかなりいるのでしょう。しかし、受けた側が“そう思ったら”というパワハラ、セクハラ問題を利用し、学校や職場においても指導も受けないし注意されるのも嫌だという事態も起こっています。
 ここへ来て、異性だけではなく「同性間においてのセクハラ」が法的に規制されるという話が出てきました。「男なんだから我慢しろ」「男のくせにこんなにこともできないのか」などと同僚や上司が言おうものなら、それはセクハラとして訴えられる可能性があるというのです。
もちろん、それまでの人間関係や相手の立場も考えず無神経に放言することには、私も反対です。しかし、言ってよいこと悪いことの基礎は、家庭教育によってできるものであり、それを学校教育と社会環境がサポートしながら“人”をつくっていくのですから、その「家庭」「学校」「社会」という教育環境を早急に見直すことが先だと思うのです。
 そしてもう一つ、最近の子供から30代までの人は、生身の人間と触れ合うことを好まず、人とのコミュニケーションが極端に苦手だといいます。すべてをネット上で済ませたがる傾向にあり、結果として無責任なネットいじめや、おかしなサイトで知り合い、初対面で共謀し犯罪を犯す事件などといった例が後を断ちませんが、相変わらず大人たちはゲームを作り続け、おかしなサイトの規制も追いついていません。
 これら二つの問題を見ても、もともとの問題を放置し、起こった現象にだけ反応し蓋をするという共通点があります。どちらも人間力がどんどん低下する一方だと思うのです。
 ふだん、しっかり自分を見ていてくれているという愛情を感じていれば、時に厳しく叱られても注意されても、それはプラスに働きます。思いやり(愛情)を持って人と接する慈悲心と、嫌なことは嫌だとはっきり言える勇気を養いたいものです。そして、人生を豊かにする人間関係は、直接向き合い手を取り合うことで体温を感じ、助けたり助けられたりしながら育っていくすてきな宝物です。
 少林寺拳法は、今社会が半ば放置する、もともとの問題に取り組んでいます。