vol.18 加古川米田道院 道院長 村田素彦

2011/09/26

より良い人間関係からエネルギーが生まれる 身近なところから創る小さな理想境
加古川米田道院 道院長 村田素彦

中導師・大拳士六段、434期生。1975年10月、兵庫県生まれ。85年、加古川西支部道場に入門。96年、日本少林寺武道専門学校(現・専門学校禅林 学園)師範科卒業。98年4月から日本少林寺武道専門学校に契約職員として1年間務める。2002年、(有)藤川洗機に入社。2003年10月、KCC東 加古川カルチャー支部を設立。2008年12月、加古川米田道院を設立、現在に至る。

加古川米田道院 道院長 村田素彦

道院長になろうと思ったきっかけは?
最初は、カルチャーの支部長から始めましたが、そこのカルチャー自体が撤退してしまいましたので、そのタイミングで道院へ移行しました。

元々、道院長になることへの憧れを持っていました。今まで自分が出会ってきた先生方がとてもかっこよく、自分もああなりたいと感じたからです。そして、そのうち道院運営を自分ならこうしてみたい、ああしてみたいといった気持ちが具体的に固まってきて、今のようになりました。

ただ、私の場合、道院長になりたいと思っていただけで、タイミングが良かったことと周りの先生方の協力のおかげで、道院長になることができました。感謝の一言に尽きるのですが、逆に運命(?)を感じたので、自分のできる限り精一杯務めさせていただこうと思っています。

aun_genki_vol03-2道院での指導方針や指導法の工夫を教えてください。
「(我を捨て)主体性を持って行動する」ということと、「気配りができる人になる」ということです。「自己確立」と「自他共楽」を日常の中に活かすことで、この2つのことを常に頭に入れ、指導の中でも具体的に話すようにしています。特に大学生以下の拳士には、これから生きていく上でとても大切なことだと感じていますので、まだわずかですが自分の経験から説明しています。

指導法の工夫は大してありませんが、他人がやっていることをそのまましないようにはしています。受け売りでは相手に伝わりませんし、自分の気持ちも乗ってきません。ですので、基本は、自分の心と身体が一体となって出るもの、つまり自分が発見したことや、他人から教えていただいたことでも自分なりに理解できたことを、そのままではなく工夫を加えたもので行うようにしています。

あと、忘れてならないのが道院の雰囲気づくりです。「明るく・楽しく・前向きに」です! 道院長自身が心から楽しんで修練していれば、いい雰囲気の道院になると思い、いつも心がけています。

aun_genki_vo0l3-4道院長になって出会った感動のエピソードをお聞かせください。
見学者が来られた時のことですが、突然来られたその方の対応をしていると、何も指示していないのに、高学年の拳士が見学者用の椅子を並べてくれました。少年部に「自分で考えて行動しよう(主体性)」「気配りをしよう」と指導していますが、そのことをきちんととらえて行動してくれたんだと感じとても嬉しかったです。一人が動き出すと他の後輩拳士も別の場面で同じように自ら動いてくれて、これはいい流れができつつあると感じています。

また、進学などで休眠になっている拳士が、年賀状などに「教えていただいたことが、今生きています」といったことを書いてくれているのを見ると、道院長になって良かったと心から思いますし、力が湧いてきます。

aun_genki_vol03-3道院長として、今後挑戦したいことや夢はありますか?
地域に貢献しながらしっかりと拳士を育てていきたいです。近隣の先生方とも話をしますが、自分の道院だけでなく、他の道院の拳士も含めて皆で育てていく、そういう姿勢がこれからはより大切になってくると思います。当然、道院長自身も勉強していかなければなりません。拳士は、道院長の背中を見て育ちます。当たり前のことを当たり前に、怠らずに淡々と行っていく、そういう自分でありたいと思っています。

夢はと聞かれれば、自前道場を持ちたいですね。今は加古川氷丘道院(松本好史道院長)の道場に看板をあげさせていただいています。大変雰囲気のいい道院で、月1~2回は合同練習させていただいていますが、専有道場っていいなぁといつも思います。

aun_genki_vol03-5最後に、将来指導者を目指す全国の拳士へエールをお願いします。
我々は、人づくりによる国づくり、理想境建設という大いなる目的のために、日々修行に励み、この運動を展開しています。理想境建設と言うと、大変先の話のように感じますが、私はよく言われるように、自分の身近なところで小さな理想境を創るという気持ちで運営を始めました。

道院長になってみると、先生方との輪はどんどん広がっていきますし、道場でも一般拳士がとても前向きに修行しかつ協力してくれています。開祖語録に、「幸せを人間関係の中に見いだした」という一節がありますが、より良い人間関係からエネルギーが生まれ、それがまたこれから先の力になるのだと思います。まずはこの身近な環境を変えていくことが大切だと感じています。

私自身、時にはしんどいなと感じることがありますが、それ以上の充実感があるから続けていけるのだと思います。