Vol.18 無関心からの脱却を……

2014/01/01

明けましておめでとうございます。
 2014年をどういう年にするのか、私たち一人ひとりが真剣に考えゆく道の選択を迫られる幕開けではないでしょうか。
 昨年の秘密保護法案の強行採決には、一人の国民として怒りを感じるとともに、日本の将来に危機感を感じざるをえません。秘密保護法が必要ないと思っているわけではありませんが、施行まで一年あるからと、詳細の詰めを後回ししながら、同時に憲法96条の改正に向けて準備するなど、国民を欺くのかと言いたくなります。また、今回の秘密保護法案可決の舞台裏では、武器輸出三原則の見直しや原発ゼロ政策の撤回が、いつの間にか閣議決定されています。
戦争を知らない世代が、「国や自分たちの将来を考える」教育も受けず、家庭環境としてもその習慣のない今の日本で、これらのことが自分たちにどう影響するのかは、なかなか実感として持てないのではないでしょうか。
 戦争放棄という憲法9条を堅持してきた日本が、なぜ武器を輸出するのでしょう。それらの言い訳は、必ずといっていいほど「人道支援」です。人道とは何でしょうか。自分や自分たちの利益のために、他人(ひと)を傷つけたり搾取などしないというのが最低ラインで、その上で他人のことをどれだけ思いやることができるか……のはずです。原発ゼロ撤回も含め、そこに生活する人たちの今や将来を考えるより、原発ビジネスを優先する今の政府のいう「人道」には、全く説得力はありません。
 アジアの一員としての日本は、今岐路に立っています。そして、私たち一人ひとりの無関心が、日本を、東アジアを、世界を変えてしまうかもしれないという岐路に立っています。
 「二度と戦争という過ちを犯してはならない」という切実な思いから少林寺拳法は生まれました。人を傷つけたり倒したりすることが目的ではなく、自信と勇気と行動力を養い、慈悲心にあふれる人々が協力し合える社会をつくることが目的です。
 昨年、とある大学少林寺拳法部の創部40周年行事に参加しました。その会場には、創部からの歴史や部員数、そして大会出場記録などがグラフ化され展示されていましたが、そのまとめとしてあったのが、震災ボランティアなどの活動でした。OBの方々も含め口々に言われることは、「大学時代には、何年少林寺拳法をやっていようが、社会に出て何ができ、何の役に立てるかだ」ということでした。現役の学生が東日本大震災の復興支援ボランティアに行く計画をすると、その後方支援として、OBが資金集めをするというのです。少林寺拳法創始者・宗道臣の教えをしっかり受け継ぎ、「その体験は将来の力になる」と企画を尊重し協力するという、人づくりを念頭においたOBの皆さんの考え方は、まさに少林寺拳法そのものです。
 今年も、これまで以上に感性を磨き、無関心からの脱却を支援できる少林寺拳法でありたいと思います。