vol.21 札幌平和道院 道院長 齊藤敏也

2012/03/26

「青春」のモチベーションをもって道院長を目指しましょう!
札幌平和道院 道院長 齊藤敏也

大導師・准範士七段、351期生。1961年9月、北海道生まれ。78年、砂川道院に入門。80年、北海学園大学少林寺拳法部へ転籍し、卒業後に休眠するが、88年、札幌南郷道院へ転籍復帰。後に勤務先転勤等もあり、埼玉越谷支部道場、大麻麻の実道院と計3カ所の道院に在籍。2003年10月、札幌平和道院を設立、現在に至る。札幌の日専連系列クレジットカード会社勤務。札幌大学少林寺拳法部監督、北海学園札幌高校少林寺拳法部監督。本山・本部1級指導員。

札幌平和道院 道院長 齊藤敏也

道院長になろうと思ったきっかけは?
大学卒業後に札幌市に本社を置く企業へ就職して4年が経ち、環境的にも慣れて余暇の有効活用という軽い気持ちで、身近な存在だった少林寺拳法への現役復帰をしました。

東京へ転勤していた1994〜98年の期間も含めて、現役を継続していましたが、当時は道院長という存在への憧れはありつつも、「また転勤する可能性はゼロではないし、難しいかな……」というのが実感でした。

転機は2001年に北海道少林寺拳法連盟から推薦をいただき、連盟本部の学生指導員(現在の本山・本部指導員)の考試を受け、委嘱されたことです。これを契機に道院での指導に加え、連盟本部大学合宿等における指導機会をいただき経験を積むにつれて、「自分自身の指導者としての幅をもっと広げたい」という強い思いが募り、道院長となる決意をしました。

 
aun_genki_vol06_02道院での指導方針や、指導方法の工夫を教えてください。
道院長の使命は、言うまでもなく金剛禅の主行である少林寺拳法の指導を通じて、自己を確立し、自他共楽が実践できるリーダーの育成です。

例えば、小さなことですが行動原理の一つとして、「少林寺拳法の修練時だけではなく、普段の学校等での集合整列においても、後列の真ん中あたりは目立たず安全圏で居心地がいいと思うのではなく、率先して最前列に立つことができる自信を持った人間になってほしい。そのために道院長は少林寺拳法を指導している」という話を拳士たちにしています。

自分自身の実体験を鑑みると、少林寺拳法という媒介を通じて、このような小さなプラス行動とこれに伴う気持ちの在り様の変化を積み重ねることで、着実に人としての成長が図られていくことが確信できます。そして、拳士全員があまねく更なる成長への「伸び代」があることを信じて指導にあたっています。

また、当道院の一般部は、約6割が様々な道院等からの転籍・復帰拳士です。したがって楽しみながらの修練の中で、各々の技法の個性は尊重しつつも少年部が混乱をきたさぬよう、法形指導ポイントの統一に向けた修練も定期的に行うようにしています。

 
aun_genki_vol06_03道院長になって出会った感動のエピソードをお聞かせください。
実は道院設立後の2005年4月、勤務先が東京のグループ企業との合併によって札幌本社が支社化され、同年10月に戻ることが困難な東京本社への転勤発令を受けました。いろいろと悩んだ結果、縁あって札幌に本社がある企業への転職を決意しました。

転職実現までの短期間ではありましたが、東京〜札幌間を行き来しての道院運営時期は、副道院長、道場長をはじめ幹部拳士の皆さんに多大なサポートをいただき難局を乗り切ることができました。法縁で結ばれた強い絆をあらためて感じました。

 
aun_genki_vol06_04道院長として今後挑戦したいことや夢はありますか?
「道院長として……」という質問から外れるかもしれませんが、学生拳士の少林寺拳法継続に力を入れたいと思っています。

私は道院長の傍ら、高校・大学の監督、それから本部指導員という立場で学生の指導機会もいただいています。学校を卒業して社会人になると、環境変化等もあり、すぐに少林寺拳法を継続することは難しいかもしれません。しかし、在学中に技法と幸福運動の両面において、少林寺拳法のすばらしさ、および道院の魅力・楽しさを伝え、一人でも多くの学生拳士が卒業後、あるいは一定期間のブランク後でもよいので、金剛禅運動の拠点である道院へ転籍してもらええるよう働きかけています。それを継続し、グループ組織間の横連携にも微力ながら尽力したいと思います。

学生の皆さんには、「せっかく出会ったすばらしい少林寺拳法を学生のクラブ活動だけで終わらせるのはもったいない。全国各地にたくさんの道院があります。少林寺拳法は逃げません、いつまでも待っています」という話を機会あるごとにしています。

 
aun_genki_vol06_05最後に、将来指導者を目指す全国の拳士にエールをお願いします。
ご存知の方も多いかもしれませんが、サミエル・ウルマンの「青春」という詩のくだりをご紹介します。

「青春とは人生のある期間を言うのではなく、心の様相を言うのだ。優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、こういう様相を青春と言うのだ。年を重ねただけで人は老いない。理想を失うときに初めて老いが来る」

私は42歳で道院長になりました。当時は年齢的に遅い決断かとも考えましたが、今でもこの決断は正しかったと確信しています。今後もこの詩にあるような強い意志と情熱を忘れず、指導に取り組んでいきます。

ぜひ、年齢を恐れず、「青春」のモチベーションをもって道院長を目指しましょう!