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vol.40 信じて歩むこの道

2015/06/08

私が少林寺拳法への「道」を歩み始めたのは高校2年生のときで、少林寺拳法本部の近くにある香川県立多度津工業高校少林寺拳法部へ入部し、本部第131期生として入門させていただいたときからです。入門の理由は、ただ、強くなりたい! でした。練習は、学校のクラブでありながら、多度津郵便局の横にあった旧本部の道場で行われ、指導は本部の先生であり、開祖・宗道臣先生も練習に出てこられました。開祖は、技の指導や、ひと汗かいたところで、「まあ、座れ」と言われ、経験豊富な話を聴かせてくれました。これは、学校の授業では聴くことのできない貴重な話であったと思います。

我々3年生が卒業する際に、開祖は、歓送会を開催してくれ、その際、私に、「お前は何処へ行くんか」と尋ねられ、三井造船ですと答えると、「おお! あそこには義若がおるから頼って行け」と言われました。故・義若道恵先生(本部3期生)は、三井造船少林寺拳法部(岡山県玉野市)の支部長であり、後に私の師匠となる方です。私は、三井造船へ赴任するとともに、義若先生に挨拶に伺い入部させていただきました。これ以来、15年間、三井造船少林寺拳法部での修行となりました。この間に、本部で月1回行われる武道専門学校へ通いました。宇野駅から高松駅へ連絡船で約1時間、高松駅から多度津駅へ約1時間、片道2時間の道のりです。武専の授業の中では、開祖法話があり、これを聴くのが楽しみであり、同時に随分と勇気づけられ、ヤル気のもととなりました。

岡山灘崎道院を設立したのは、1976(昭和51)年11月のことで、時の町長さんからの依頼によるものでした。以来、多くの拳士を世に送り出し、拳士の逞しく成長していく姿に指導者冥利を感じました。

私には幸せなことに孫が9人おり、そのうち6人が少林寺拳法の拳士です。設立35周年記念祝賀会の際、孫たちからサプライズで私に感謝状の授与がありました。さすがに、笑いと涙で私の顔はくしゃくしゃになりました。内容は次のとおりです。「感謝状、山崎隆尉殿、あなたは、35年もの長きにわたり岡山灘崎道院の道院長として雨の日も風の日も二日酔いの日も活動し続けた功績はすばらしく誇りに思います。私たちの祖父としては常に優しく時に厳しく孫9人に無償の愛を注いでくれ温かい目と大きなお腹でいつも私たちを見守り支えてくれました。〝ありがとう〟ここに感謝の意を表します。これからもお酒はほどほどに健康で長生きしてください。平成24年10月21日 山崎家孫一同」

今年で入門以来55年目となります。これほど長く続けられるとは思ってもいませんでした。多くの先輩・諸先生方からの指導を受けながら、また、多くの友人を知りうることができました。このことは、私の生涯において貴重な財産となるものであり宝物です。友人・家族に支えられていることに感謝の気持ちでいっぱいであり、特に妻には、健康への気遣いや辛口のコメントをもらいながら、優しい気持ちに心から感謝しております。

組織機構改革は、昨年3月末で終了しました。私は岡山県教区長を拝命していることから、県下道院長の皆さんにはいろいろとご無理なお願いをし、その結果として廃院せざるをえない道院長もおられ痛恨の極みでした。しかし現在では、宗教的な行事も全て実施でき道院らしい活動ができることに大変よかったと思っています。今後は、信じて励んだこの「道」を体力の限りに続け、頑張ります。
(岡山灘崎道院 道院長 山崎 隆尉)